野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

桃太郎ゲネプロ

碧水ホールでの「桃太郎」のゲネプロ。ぼくは、これまで一度も演奏に加わらずに、外から客観的に見て、指示をする役割に徹してきました。で、今日はゲネプロなので自分も演奏に入ろうと思いましたが、客観的に見る演出家がいないので、中川真さんから、照明とか立ち位置とか、色々見て欲しいので、演奏に加わらずに見るように要請を受けました。だから、明日は、ぶっつけ本番です。ぼくは、色々演出上の改善点をチェックしつつ、各場面に自分がぶっつけで加わるとして、どの楽器でどんな演奏をすべきかをイメージしながら、ゲネを見ました。これだけ出来上がっているアンサンブルと芝居に、一度もリハで加わらずに本番でぶっつけで加わるのには、かなり覚悟が要ります。迷いを持って入っては足を引っ張るだけなので、迷いなく入れるように、かなり意識しました。それと同時に、ぼくが入ることで、マルガサリがどの程度混乱するかしないか、も意識しながら、ゲネを見ました。また、全部通すと4時間かかるので、その間、常に客席の場所を変えて、かなり色んな位置で見ました。

なぜか毎年舞台監督を担当しているバンスリ奏者の中川博志さん、衣装担当の水谷由美子さん、林加奈ちゃんと夕食を食べながら、もう悠長なことは言っていられないので、できる手は全て打とうと話し合いました。

それを受けて夕食後は、かなり修正点をチェック。さらに、宿舎に戻った後、個別にチェックして欲しい事項を宿題として、指示しました。例えば、桃太郎とタマゴ大王のやりとりの問題点は、二人で宿で相談してください。ばばあの演技指導は、林加奈ちゃんに宿でやってください。カーテンコールの出てくる順番を、真さん決めてください、などなど。こうした宿題を抱えて、宿では深夜まで明日の本番に向けての最終調整が行われました。

それと、もう一つ、ぼくが絶対やろうと心に決めたこと。それは、本番直前に、ジャワの伝統曲を演奏すること。ここ1ヶ月ほどは、桃太郎の練習に明け暮れて、マルガサリは全く伝統曲を演奏していません。今日のゲネの演奏の響きを、ぼくは濁って汚いと感じました。ジャワ・ガムランの響きを知らない人がやっているように聴こえたのです。もう一度、基本に返って、ガムランから音の色彩をつくり出すことを、思い出して、その感覚を持って、「桃太郎」の上演に向かって欲しいと思いました。

ということで、いよいよ明日です。