野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

あいのて収録

11時間以上眠り続けて、目が覚めた。今日は「あいのて」第3回、第4回の収録です。共演の仲村瑠璃亜ちゃんは、「ワニバレエ」を本当に気に入って、「ワニバレエ」だけで10回以上見たとのこと。踊りも完璧にマスターしたみたい。すっごく嬉しいし、平盛小の子どもたちも喜んでくれるでしょう。

前回の収録は、雰囲気作りに相当神経を使ったけど、今回は、最初から雰囲気がいいし、ぼくは気を使わずに、音と番組のことにだけ集中できて、良かった。台本に書いてあるカメラ割りの部分に目を通したり、事前にリハーサルの映像を見れたりしたので、ディレクターの視点で考えながら、一出演者として演奏できたので、良かったです。前回は、ディレクターが、それぞれの場面でどんな絵を撮ろうとしているのかが明確にはイメージできていない状態で、ぼくは収録に参加してしまっていたので、その反省もあって、今回はきちんと台本のカメラ割りを見て、ディレクターの意図を理解するように努めました。演奏家が譜面を丁寧に読むようなものですね。

それから、番組の対象である4、5歳児のことを思い出すことを心がけました。共演の女の子二人は、8歳と15歳で、しかもすごく賢いのです。この物分かりの良い二人をターゲットにやり過ぎると、視聴者の幼児に届かないこともあるような気がするのです。だから、スタッフたち(カメラさんとか)を時に4歳児だと思い込んで、あそこで4歳の子どもが見ている、と思い込むようにして、演奏したり演じたりしました。

さらに心がけたのは、自分らしく、フラフラ、キョロキョロしよう、ということです。カメラや照明の関係で、立ち位置はココと決められていることがほとんどで、しかも、喋らない設定なので、そうすると、下手をすると自分らしくない、きちんと黙って1箇所に留まる良い子ちゃんになってしまいかねない。いたずらっぽい自分らしさを、きちんと出すために、少しフラフラ、キョロキョロしてた方がいいと考えました。

それから、エイちゃん、ルリアちゃんと関わることを、かなり意識するようにしました。とくに、みんなで即興セッションみたいになると、ぼくと片岡さんと尾引さんの音表現が強烈なので、女の子二人の存在感が薄くなってしまう危険性があります。でも、片岡さんはかわいい女の子を前にすると緊張してしまう性質で、女の子たちをうまく誘導したり、引き出したりするのが、難しそうだと分かってきました。しかし、尾引さんには、そんなことより音にトランスしていて欲しいし。そうなると、女の子に音で刺激を与えたり、やりとりをする役目は、野村の役割と結論づきました。それは多分、野村が一番得意なはずです。そこを、少し意識しました。

こうしたポイントを、意識したことで、前よりは断然いい収録になったと思います。収録途中にも、鍵盤ハーモニカで卓球風に演奏することを思いついたり、ピンポン玉での演奏のニュアンスも収録中にかなりレベルアップできたり、現場でどんどん良くなるのがうれしかったです。

そして、チェンバロ+ボディパーカッションの曲は、本番まずまずでOKテイクにするかどうか迷ったのですが、みんなもう一回やりたがったし、テイク2にチャレンジしました。テイク2は、かなり気合を入れて演奏して、格段にテイク1より気持ちの入った演奏が撮れました。その他にも、ルリアちゃんのセリフに、片岡さんと尾引さんのおかしな演技指導がついて、演技の味付けをして、遊びの要素が増えたり。いい意味で、共同作業が深まった感じです。

それにしても、ルリアちゃんの演奏が本当にいいです。オーディションの時に、ぼくが音のオーディションをきちんとやって、本当に本当に良かったです。この番組のお姉さん役は、本当にルリアちゃんしかあり得ないです。

ピンポン玉400個を使った凄いシーンの撮影で、今日の収録はおしまい。どんなシーンかは、番組を見てのお楽しみです。今日撮影したピンポンの回は、5月20日、24日、27日、31日に放送。ボディパーカッションの回は、6月3日、7日、10日、14日に放送です。お楽しみに。