野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ヴァイオリンアカデミー

昨夜、日記を書いてから、超高速決定と手配で、俳優に連絡することに。倉品淳子さん(山の手事情社)に連絡をしたところ、幸運にしてスケジュールの都合がつき、出演をご快諾いただいた。やったー!もう一人、俳優の知り合いと言えば、と思いついたのが、「インプロゲーム」の著者のキヌガワユリさん。こちらは、3月11,12日はニュージーランドで予定がある、とのことだが、スケジュール調整できるかもしれない、ってお返事いただいた。倉品さん、キヌガワさんが来てくれたら、3月のプレ公演、メチャクチャ楽しいステージになること、間違いない!キヌガワさんも無理言うけど、都合がつくと嬉しい。

さてさて、午前中は、えずこヴァイオリンアカデミーとのワークショップ。小学生約10人程度。まず、ヴァイオリンの演奏を聞かせてもらう。なかなか微笑ましい演奏。1年生から5,6年生までいる。それから、ぼくは、鍵盤ハーモニカをカバンから取り出したら、「それが入っていたから、カバンが大きかったんだ」と1年生の男の子。そこで、ぼくはこれだけじゃなくって、と校正のために持ち歩いている筝曲の譜面や、五線譜、弦楽四重奏のワークショップの譜面を入れたファイル、あいのての資料をいれたファイルなどを取り出し、パラパラと見せて説明したり。

鍵ハモで「サザエさん」演奏。それから、ピアノで「たぬきときつね」と「INTERMEZZO」。内部奏法などもついでに紹介。ペダルを踏んで、ピアノに向かって声を出して、弦を共鳴させたり。ピアノの内部に興味がいったのは、やっぱりヴァイオリンが弦楽器だから、ピアノの弦に触ることになったのかな?

その後、音楽劇ということで、「ノックをしてドアを開ける」というパントマイムにヴァイオリンで音をつけてもらった。じゃあ、次は何をする?と聞くと、「カブトムシの足音」と言って、一番活発な男の子がカブトムシの演技を始める。カブトムシの足音は、駒の近くを指でかすかに触る音になった。その後、カブトムシを人間がつかまえる音を考えているうちに、ポルタメントをすることに。ポルタメントもやったことがないのに、みんな結構上手。それをやっているうちに、これがハエの飛ぶ音になり、ハエがカブトムシを助けることになった。

続いて、洗濯の音をやろうと、また一番積極的な男の子。手洗いの音が開放弦をギター風にアルペッジョをランダムにすることになった。じゃあ、洗濯機が回る音は?G線上でのグリッサンド上がったり下がったりをやってストップ、続いてD線上で上がったり下がったりでストップ、これを繰り返す。

最後に、メロディーのある曲をやろうということになり、みんなで沈黙してどうしようかなと戸惑っているときに「なんでもいいから早くやろう」みたいなことを言った子がいて、じゃあ「速くやろう」ということで、16分音符の刻みをやった。この刻みのパートに合わせて、「ハンガリーの主題による」というみんなが練習中の曲をゆっくり演奏すると、これが何とも言えない雰囲気になったので、ぼくはこれにピアノを足してみた。

以上のアイディアを組み合わせて、カブトムシを捕まえようとしたがハエに阻まれてしまった昆虫学者が、知人を訪ねドアをノックする。汚れた服を洗濯してもらった後、ハンガリーヘラクレス大カブトを捕まえるために旅立った、という短い音楽劇になった。これを倉品さんやキヌガワさんが演じてくれれば、面白いことになりそうだ。