野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

誕生日

37歳の誕生日。ヒューの家族がバースデイカードをプレゼントして、スペシャル朝食で、「ハッピーバースデイ」を歌ってくれた。それから、電車で3時間、ロンドンに着く。ひとまず、楽譜屋さんに行こうと思って、Boosey & Hawksへ行ったら、移転していた。移転した先は、前より狭くなっていた。規模縮小かぁ。いろいろ楽譜を眺めたけど、結局2006年の手帳を買った。それぞれの日に生まれた音楽家の名前が書いてある。自分の誕生日だけに、色んな人の誕生日が書いてある手帳に惹かれた。
それから、作曲家のAndrew Melvinと会って、Brunel大学で作曲家のPeter Weigoldと会う。今から30年ほど前、イギリスで音楽のワークショップを始めた人らしく、この分野の先駆者。作曲と即興をどう結び付けるか、を探究している。50歳くらいの人。日本に一度来たことがあるらしく、坪能由紀子さんと会ったと言っていた。
ぼくは、ホエールトーン・オペラの話、オルガンスープの話、しょうぎ交響曲、動物との音楽の話、をざっと語った。今日の夜7時からの大学院のセミナーに参加していいよ、ということになった。
ピーターが行った後、アンドリュー曰く「彼は色んな人とワークショップをしてきたから、どんな状況も体験しているだろうけど、動物とやったことはないから、すごい目が輝いていたよ。」とのこと。
ピーターは、オーケストラの指揮者もしていて、とにかく経歴がいっぱいありすぎる人らしい。著明な作曲家に1ページだけ作曲をしてもらい、その続きをオーケストラのメンバーと即興ででっちあげていくようなコンサートをやったり、色々面白いことをやっているらしい。
ブルネル大学は、ピーターが来て、即興と作曲に関して面白いスタッフがそろい、現代音楽の新しい中心になるかもしれない予感を感じさせた。ロンドンシンフォニエッタのメンバーなど、様々な一線の音楽家が大学に出入りするようにもなっているらしい。木曜日は、即興セッションの日としているらしい。ピーターのような活動的な教授がいると、大学が活気づく。
大学院のセミナーは、新年度の1回目で、みんなシャイだと思った。講師陣も30歳くらいの若い大学なので、講師陣もぼくより若い。みんな自信がなさそうだ。「自分は即興で、特に音楽とスピーチの関係に関心があり・・・」など、自信なさそうに話し始める。「自分は、修士はギルドホール・・・で勉強して・・・」など、本題と外れたところから話し始める。単刀直入に用件に入れないのが、やや見ていてまだるっこしかった。
ピーターが時間がないがせっかくなので、マコトの研究分野についても聞いてみよう、とふってくれたので、「共同で作曲する方法の探究を、様々な文化的バックグラウンドの人との交流を通して行うこと。動物との共同作業で新たな共同作曲の方法を確立すること。音楽と民主主義の関係について考えること。どうやったら、様々な立場の人が対等に音楽ができるのか?4歳の子どもとプロのジャズミュージシャンが対等に関れる状況はどうやれば生れるのか?」というような投げかけをした。
アンドリューが、次回はマコトのレクチャーやワークショップをブルネル大学でできるといいね、と言ってくれた。
アンドリューの家に着く。史真さんと3人で夕食。アンドリューがピーターの曲の譜面を見せてくれたり、録音を聞いたりした。なかなかいい作曲家と思ったし、あんまり即興というわけでもないように思った。
アンドリューがP−ブロッ+シマさんのために書いた譜面を見せてもらった。
アンドリューが誕生祝いに書いてくれた37音を使ったピアノ曲の譜面をくれた。嬉しい。
深夜12時〜3時半にかけて、「オルガンスープ」の中の「オルガン弾きペンギンになる」と「みそラーメン食べ放題」をハーモニカ+P−ブロッにアレンジした。他人の家に泊まって譜面を書くのも変な気分だなぁ。