野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

エイブルアート・オンステージ第2期選考会

明治安田生命で、エイブルアート・オンステージの第2期選考会の面接をした。第2期に応募のあった団体のうちの一次選考(書類)を通過した15団体の人たちの話を聞いた。基本的に、4団体ずつのグループ面接で各一時間を4回、つまり、まるまる4時間かけて、15団体の人の話を聞き続けた。
感想としては、思いっきり話を聞き続けて、疲れたけど、第一期よりもかなり具体的かつ独自性のある企画も多く、相当期待ができること。しかし、皆さん自己アピールが、もっと得意でもいいのに、と思った。ぼくの方から、一生懸命、特長を探ったり、聞き出そうとして、やっと、独自性や企画の長所が見えてくることがあった。自分達の企画の独自性・可能性を一度徹底的に突き詰めて考えてみれば、もう一歩、もう二歩先に踏み込むために何をすればいいかが見えてくるはず。
今回は、選考のための面接という形態をとりながら、一緒になって、この企画をもっと良くするには、どうしたらいいのか、どこを突き詰めればいいのか、と一緒に考えているような会になった。時に、シンポジウムをやっているのでは、というような議論になったりした。面接の場や待ち合い室が、複数の団体の人の交流・意見交換の場になった。今回、選ばれなかった団体にとっても、この面接に来ることが次の活動へのヒントや人脈づくりにつながったようで、よしよし、と思った。
表現のあり方や人間関係などの新しい見方が提示できる可能性を、本気で考えている独自な企画に、支援したい。そうした企画が、少しずつではあるが、多様な方面から出てきた。従来のアートフォームが排除してしまっていたもの、でも、そこを大切にするために、どんなアートフォームが必要なのかに、真剣に取り組む意志のある人。それは、演劇だとか、ダンスだとか、音楽だとか、アートだ、福祉だ、障害だ、健常だ、などという枠組とは全く違った切り口で、現在に切り込むための方法の探究で、そのことに向き合う覚悟や勇気や意欲がいる。でも、そういう気持ちを持った人がいっぱいいるはずで、それが今、ぼくらが生きている時代のための芸術を生み出していくはずだ。
試行錯誤ながら、一年間エイブルアート・オンステージに真剣に関わってきた甲斐があった。これを続けていくと、すごいムーブメントになっていける可能性があるから、気は抜けない。ぼくは、本気です。