野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ぼくとガムラン

今日は、国立芸術大学で幸弘さんがレクチャー。幸弘さんが日本語で話し、佐久間君がインドネシア語に通訳。でも、アナンはどちらも分からないので、ぼくが英語に通訳。タイで、振付家のナラポンと中川真とぼくの3人でやった即興セッション「Petch 9 Tower」などを上映。かなり学生たちにもいい刺激になっただろう。
インドネシアでは、質問がいつまでたっても止まらない。真さんによれば、質問が出ないと失礼だから質問し続けるらしい。
芸大の先生たちと再会。伝統音楽科の副学部長スマリョノさんにも再会。2年前にぼくの曲で大張り切りで踊ってくれたぶっとんだおっちゃんが、ここでは副学部長。妙にきちんとした格好だったりして、びっくり。
ここで、中川真は帰国。さようなら。
この後、中古ガムランショップへ。アナンは、マヒドン大学でガムランセットを購入することを本気で考えている。フルセットの値段を聞いて、「ピアノより安いね」。
ぼくは、何も買うつもりなかったのだけど、クンダン(太鼓)の値段が70万ルピア(=約8000円)と聞いて、心が動き買うことにした。パシスが少し叩く仕草を見て、なるほどこうやって叩くんだとか、音色を出すんだと参考にし、帰ってからも叩いて遊ぶ。
スボウォが訪ねて来た。ぼくのクンダンをアナンが叩いて、「タイの伝統音楽では、こうやって叩くよ」とパターンを示したりする。今頃になって、アナンとスボウォがこんな感じで交流しているのがいいな。せっかくなので、アナンにガンバン(木琴)をタイの木琴風に叩いてもらった。これがまたすごい超絶だった。しかも、伝統曲で「これはウマの曲」とか弾いてくれた後に、ウマの踊りまで披露してくれた。アナンは、弦楽器も打楽器も笛も、何でも演奏できるし、博学だし、人柄はいいし、ユーモアはあるし、柔軟だし、場の雰囲気は読めるし、すごい。タイではその片鱗はうかがえたけど、インドネシアに来て、一緒に合宿して、すごさがよく分かった。タイからアナン、インドネシアからスボウォが参加する形で、来年は日本でプロジェクトを行いたい。場所も予算も何も決まってないから、誰か企画・制作手伝ってくれないかなぁ。
で、夜は、スナルディに連れて行ってもらって、徹夜でワヤン(影絵芝居)を見に行った。パナルディは、カーステレオでもガムランがかかっている。これに幸弘さんは、相当関心していた。
そして、深夜2時ごろまで5時間ほどワヤンを見て、本当は最後まで見たかったけど、アナンの飛行機が早朝7時発なのでやむなく帰る。ワヤンを見て、ますます自分の作曲とジャワの音楽に共通点をいっぱい見つけて驚いたし、ますますガムランに親近感が増した。「桃太郎」を作る作業が楽しみ。