野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

大垣


朝、目覚めると、ピアニストの大井浩明くんが、京都に行く途中に大垣に立ち寄るように言う。真直ぐ京都に行って、と思っていたのに、おいでおいでと言われるうちに、よく分からないままに、大垣に行くことになる。

新幹線では、岡倉天心の伝記を読み始めるが眠たくなって寝てしまい、代わりに大井くんが読んでいた。で、大垣まで行くと、鈴木くんという人(下の名前は不明だけど、打楽器奏者で作曲家らしい)が車で迎えに来てくれて、IAMASまで連れて行かれる。もう、あなたは拉致されたから、今日の打ち合わせが終わるまで帰れません、と大井くんに宣告される。大井は、観光客のようにどうでもいい写真をいっぱい撮っている。blogページをやらさせられているみたいで、楽しそう。

三輪真弘さんの研究室へ行ったあと、自動ピアノの部屋に行って、鈴木くんのクロマティストという曲の説明を聞いたりして、それで、よせばいいのに、部外者のぼくが、そこをこうした方がいいのでは、とか、こうなっている意味は何とか、ごちゃごちゃツッコミを入れる。だから、いつまでたっても京都に帰れないで、ああでもない、こうでもないタイムが続く。

その後、三輪さんの東の唄の説明が終わった後、大井、三輪対談が始まった。で、よせばいいのに、ぼくも時々口を挟んだりした。これは、3月19日にフェニックスホールで行われるコンサートのプログラムノートになるかもしれないらしい。

大井くんの言うことは正論かつ具体的で、三輪さんの言うことは漠然としていて、でも、どちらの音楽家も自分のやっている体験に基づく実感で話していることは確かなのだけど、その実感がそんなに噛み合わないのだろう。で、三輪さんの方が漠然としているので、大井くんが具体的、論理的に話をすると、漠然さがより漠然となっていく。この漠然としたところが、結局何なのかを、三輪さんがピアノ曲として書いて、それを大井浩明が演奏すれば、すっきりできるのだろうけど、3月19日には新曲はないらしい。残念。クロマティストは演奏されるみたいです。