野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

明日からは無調


昨日に引き続き、アコーディオンの作曲。ソナタも提示部、第1主題の部分を書き進める。書いているうちに、D-dur(ニ長調)に転調し、かなり興奮してきた。提示部なのに、クライマックスのようなテンションになって、気持ちに音符が追いついてこない。自室で一人で、「アー」とか「ギャー」とか声を出してみるが、楽譜には声は使わず、音符を書くが気に入らず、消しゴムで何度も消しながら、少しずつ進む。

京大の近くまで夕食を食べに行ったら、偶然(10年以上ぶりに)、日比野真さんに会った。彼は、高校の先輩で、大学も一緒で、吉田寮のライブなどで一緒になったりした人。現在は、ジェンダー関係の活動をいろいろやっているらしく、その辺の話をした。

「男、女、って区別するのをやめてしまいませんか?」
というのが、彼の言い分。いや、「彼の言い分」という表現の「彼」は男性を指す表現で、氏は彼とか彼女というように分けてみることをやめてしまおうと言っているのだから、彼じゃなくって、彼女じゃなくって、となって、つまり、日比野氏の言い分と言えばいいのかな。ただし、男、女っていうのをやめてしまうことによって、現存する男女間の差別や暴力などが、隠ぺいされたまま残るので、そんなにことは簡単ではない、と思うとか、色々話をした。

その後、家に戻って、作曲を続ける。どんどんテンションがあがって、明け方、第1主題の部分は書き終えた。ここまでで、一つの小品としても成立するな、と思いながら、明日からは、無調。