野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

高嶺格/ガチャ・コン振り返り/ピアソラ100/ピアノニマス

高嶺格くんと長らく会っていないような気がする。学生時代に知り合った高嶺くんが、今では大学教授になっていてる。高嶺くんのインタビュー番組がYouTubeに公開されている。それぞれ5分。後編の最後で高嶺くんがドラムを叩いている。大昔、我が家に泊まりに来た時に、箏を夢中になって弾いていた高嶺くんを思い出した。

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びわ湖・アーティスツ・みんぐる2021『ガチャ・コン音楽祭』の振り返りと次年度に向けてのミーティング。びわ湖芸術文化財団の福本さん、山元さん、コーディネーターの野田さん、永尾さんと2時間を超えるミーティング。このメンバーで会議すると、だいたい2時間を超える。以下、自分のための覚書。

 

今年度の事業は準備期間が短かったけれども、その中で最大限にプログラムを実現することができた。

関わってもらったアーティストたちが本当に素晴らしかった。

滋賀県在住のアーティストたちの交流の場をつくること、創作を触発する機会をつくることは必要だと感じた。

10月31日に美術展と会場をジョイントできたが、相互に関わり合いは希薄(藤野さんが近江鉄道に関する新作を作ってくださったことが救い)。

とても良いフライヤーのデザインだったが、コロナの緊急事態宣言と重なり実際に手にとってもらう機会が不足した。

ウェブサイトをうまくデザインできるかも課題。

地域コーディネーター"ぐるぐる”をいい形で継続させたい。

若手アーティストの発掘、やりたい。

面白い場所の発掘もやっていきたい。

‥‥‥

 

 

ピアソラ100》の譜面を今日完成させるつもりだったけれども、夕方にちょっと疲れたのかダウン。大相撲を見ていたいのに、寝転がって中継を聞いていた。正代が勝って6:30に花火があがったが、花火を見ずに音だけ聞いていた。音だけ聞くのもいい。里村さんにマッサージしてもらって、回復。

 

一昨日のピアノニマスさんとの鍵盤ハーモニカの初共演の様子がYouTubeで公開に。鍵盤ハーモニカで色々な音を出し、色々な奏法をしています。

 

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帰宅

遠征を終えて、大相撲九州場所が始まっている九州に戻る。家に帰り、今日かけたCDが倍音ズの 『倍音ズDEN』。やはり名盤だ。今井尋也とコラボした能に取り組んだ曲も、口琴のアンサンブルも、ホーメイの重なり合いも、どれもいいなぁ。

 

YouTubeがRaimo Kangroをおすすめしてきた。YouTubeがおすすめするものは、たいてい的外れなのだけど、Raimo Kangroはおすすめ。でも、どうして、これを薦めてきたのかなぁ?台湾の人たちが演奏しているからかなぁ?ぼくが今度台湾のオーケストラと仕事するのが、AIにばれてるのかなぁ?台湾の演奏も色々あるだろうに、Kangroを薦めてくるとは、AIも野村の嗜好性が少しずつ理解できてきているのかもしれない。でも、AIの理解を超えるところに行きたいなぁ。

 

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ケンハモセッション/パープルリボン作曲賞/パープルリボンコンサート

鍵盤ハーモニカ奏者の南川朱生さんとお会いした。南川さんは、鍵盤ハーモニカを研究し、楽器に様々な改造を加えて鍵盤ハーモニカの可能性を探求している人。今回、お会いするのは2回目で、前回は鍵盤ハーモニカについてお話させていただいたので、今回は実際に様々な改造鍵盤ハーモニカを見せて(吹かせて)いただき、その流れで一緒に演奏もした。

 

発音が遅れたりピッチが不安定になりやすいバス鍵盤ハーモニカを、非常に発音しやすく調整していたりするのだ。これは、たとえて言えば、調整していない鍵盤ハーモニカを演奏することは、でこぼこに穴があいた床の上でダンスを踊るようなもので、南川さんの楽器を演奏するのは、平らにならされた床でダンスをするような感じだ。つまり、楽器を演奏する上でのストレスが完全に軽減されている。バッハを吹くために、ピアニッシモがきれいに出るように調整した楽器なども、同様に吹きやすい。珍しい楽器(大昔のスズキのメロディオンのソプラノとか)を吹かせていただいたりした。もちろん、コロナ禍であるので、ケンハモのホースを持参し、楽器の消毒をした上で吹かせていただいた。

 

南川さんの楽器の改造/改良も素晴らしいが、演奏家としての南川さんも非常に柔軟性があり遊び心に富んでいて、一緒に演奏すると、こちらの遊び心も触発されて音楽が次々に溢れ出てくる楽しいセッションになった。ライブもやりたいな。

 

パープルリボンミニコンサートのためのリハーサル。ソプラノ歌手の坂本雅子さんと初対面で初共演。野村誠作曲/草柳和之作詞《DV撲滅ソング〜DVカルタを歌にした》をリハーサルし始めた瞬間から、鳥肌が立った。DV被害者の思いを、女性の声で実際に歌われると、言葉自体がすごい力を持って飛びこんでくる。坂本さんの表現力がまた素晴らしい。

 

スタジオ・ヴィルトゥオージで、パープルリボン作曲賞の記者会見。女性への暴力をなくすなどパープルリボンの理念に基づく作曲賞で、草柳和之さん個人が創設した作曲賞。草柳さんは別に資産家ではない。作曲家でもない。音楽を生業にしているわけではなくカウンセラーである。一人の市民がお金を貯蓄して、例えば車を購入するとか、海外旅行に出かけるとか、そういう形でお金を使うことが多い中、草柳さんは、作曲賞を設立するのにお金を使うことにした。こんな形で一人の個人が芸術へのパトロンになると同時に、芸術家にDVなどの問題に向き合うきっかけを提供し、音楽を通して暴力をなくしていくアクションを起こそうとしている。

 

不要不急と言われたりする音楽の力と可能性を信じている草柳さんがいる。暴力や社会問題に真っ向から向かってきた草柳さんのような人が、本当に音楽のおかげで苦難を乗り越えられた、音楽のおかげで救われた、音楽が必要なんだ、と声をあげてくれている。専門家だけの専門家のための作曲賞ももちろん必要だが、非専門家がこんな形で作曲賞を始めるのもある。

 

作曲賞は来年の8月に締切、来年11月に第1回の受賞作品が決まる予定。審査員をピアニストの清水友美さん、カウンセラーの草柳さん、作曲家の野村という立場の違う3人が行う。記者会見では3人がそれぞれの立場で語ったのが本当に面白く、このプロジェクトがユニークであることを今更ながら思い知った。野村誠作曲《DVがなくなる日のためのインテルメッツォ(間奏曲)》(2001)も演奏した。この作品から20年。

 

パープルリボンミニコンサートでは、米永志奈乃さんの重厚なバッハで始まり、草柳さんの思い入れのたっぷりなブラームスが続き、坂本さんと野村で《DV撲滅ソング〜DVカルタを歌にした》を演奏した。着物姿で歌われる坂本さんの歌声は様々な女性の声のようでもあり、胸にぐっときた。清水さんと連弾で、Alfred Wongの《2 Javanese Gamelan Transcriptions》を演奏した後、野村誠《Chant for Sleep》(2020)を演奏した。コロナで亡くなった人々へのレクイエムであり、コロナウイルスを眠らせるための音楽。野村誠作曲《DVがなくなる日のためのインテルメッツォ(間奏曲)》を草柳さんが弾き、清水さんがダンスを踊り、そのまま、《ひまわり~ DVをのりこえて》に入って、清水さんがDV被害者の言葉を朗読するが、もうそれはドキュメンタリー演劇であり、一人芝居をしながらピアノを弾く清水さんのエネルギーも圧巻だった。

 

 

【野村誠のアコーディオン全部やります!】の第1回

原宿のカーサ・モーツァルトにて、WINDS CAFE 299【野村誠アコーディオン全部やります!】の第1回を聴きに行く。リハーサルに参加し、同時にリモートで丸亀でのNadegata Instant PartyのHome Stay Homeに少しだけ参加。楽しかった。

 

コンサート本当に幸せだった。全曲、野村誠作曲。年代順

 

1 FとI (1999/2001) 

2 ロシアンたんぽぽ(2003)

3 誰といますか(2004)

4 ブタとの音楽(2007)

5 Art Tower Mito(2008)

6 押すと納豆(2013)

7 あたまがトンビ(2004/2011)

 

最初が2重奏で、2〜6曲目が全部独奏で、最後が3重奏。演奏

 

1 FとI    (大田智美+松原智美)

2 ロシアンたんぽぽ (松原智美)

3 誰といますか (大田智美)

4 ブタとの音楽 (大田智美)

5 Art Tower Mito  (水谷風太)

6 押すと納豆 (大田智美)

7 あたまがトンビ (大田智美+松原智美+水谷風太)

 

アコーディオンという楽器は、野村の音楽の中でも特に叙情性を引き出す楽器だ。大田智美さんは、野村の作品を数多く演奏してくれているアコーディオニストで、ぼくの音楽をとても理解してくれている演奏家だ。長年培った信頼関係がある。松原智美さんとは何度か共演しているが、共演ではなく客席から彼女の演奏を聴く経験は意外になく、今回、松原さんの独奏を聴いて、彼女の演奏の魅力や個性を再発見できた。アコーディオニストは十人十色なのだなぁ。彼女のための曲も書いてみたいと思った。水谷風太さんは2009年生まれで小学校6年生の才能溢れる少年で、4歳からアコーディオンを始めたそうだ。大田智美という素晴らしい先生から、5年生の時点で野村作品をレッスンされていたが、今回、作曲者の前で演奏することになった。喋ると普通に小学生だなぁと思うが、一度アコーディオンを構えると、彼は音楽家で、ちゃんと世界が立ち上がる。この才能が今後どのように成長していくのか、本当に楽しみだ。

 

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最後に3人が奏でる《あたまがトンビ》は、東日本大震災の直後に心がザワザワする中、自分自身の気持ちを落ち着けるためにも編曲していたので、演奏を聴きながら色々なことが想起された。祈りのような時間でもあった。快演をありがとう。

 

その後、東京勤務になった京都新聞岡本晃明さんと、写真家の草本利枝さんと会って、久しぶりに色々話し合い、このお二人と東京で会うなんて、と違和感と懐かしさが交じり合いながら楽しく過ごす。

 

そして、木方幹人さん、西川直子さんのお宅へ行き、こちらも色々語り合う。

 

 

 

みみずのラプソディ/丸亀ホームステイ

大阪のココルームに行く。ゲストハウスとカフェと大学のふりをしている「こえとことばとこころのへや」。通称、ココルーム。ココルームの企画する釜ヶ崎芸術大学。当時のスタッフだった植田裕子さんが2012年に始めた企画は、もう10年目になる。2003年からココルームをやり続けている上田假奈代さんには、30年以上前に出会った。実験映像の中で、「天使突抜」という自作の詩を木の上で読んでいる天才詩人。20歳にして300年生きてしまったのではないかというくらいの人生の悲しみと喜びを声にし言葉にしていた少女は、当時のようにオープンで多くの人を巻き込む活動を今も続けている。そして、詩というものに、言葉というものに、向き合い続けている。

 

今日は、上田假奈代と砂連尾理と野村誠による釜ヶ崎芸術大学の授業。砂連尾さんと出会ったのは20年ほど前で、出会った頃の砂連尾さんの狂気は、コンテンポラリーダンスという衣装を纏って、その背後からたまに顔を覗かせる臆病者だった。その狂気の砂連尾さんは、明るい場所を好まず、表に顔を出してもすぐに背後に隠れてしまう。だから、砂連尾さんと会っても、社交辞令のような挨拶ができる外交担当の砂連尾さんと話すことはできても、狂気の砂連尾さんは臆病で出てこなかった。誰しもが、そうした狂気を内に抱えている。上田假奈代だって、ぼくだってそうだ。砂連尾さんの狂気は、中でもとりわけ臆病者だったが、この臆病者がどんどん顔を外に出すようになり、ぼくは砂連尾さんと頻繁に会うようになった。

 

この狂気はみみずのようなものである。みみずは暗いところを好み、土の中に潜ってしまう。というのも、今日の授業は、「ことばとからだとおんぱ」だったが、昨日、みみずが1000匹ココルームに届いた。だから、「みんなのみみずのラプソディー」となったのだ。

 

最初に、3月の講座の時に作った「釜芸校歌」を歌った。こんなハイテンションで、ぶっちぎるような校歌を作ったことを、忘れていたが、譜面を見てピアノを弾き始めた瞬間に、あの衝撃は戻ってきた。砂連尾さんの講座で以前できた「かま体操」もやった。でも、今日は、みみずだった。みみずの声にみみをすまし、即興的に詩が生まれた。詩の周りに、音楽とダンスがまとわりついていった。みみずは、人間の手や頭や顔や太鼓の上にも引っ張り出された。さぞかしびっくりしたことだろう。

 

講座の直前に、池上恵一さんがマッサージをしてくれた。体をいたわってもらいながら、講座の打ち合わせをした。からだもほぐれたが、心もほぐれていた。凝るってことは、緊張しているんだよなぁ。いろいろな仕事で緊張感もあるけど、緩んだ状態で最大に力が発揮できるような、そんな境地に少しでも近づきたいなぁ。

 

よりによってこんな日に、Nadegata Instant Partyの丸亀で行なっているリモートでホームステイするプロジェクトに参加することになった。里村さんと二人で熊本代表として参加した。熊本に引越して、まだ半年なんだけど、いいのかな。大阪にいるけど、いいのかな。まっ、いいか。ホームステイ先の初対面の方は、とてもとても魅力溢れる方だった。明日もホームステイするよ!ありがとう。

 

 

熊本は雨/ピアソラ100/問題行動トリオ

熊本は雨天が続く。帰ってきてから雨ばかり。明日から遠征なので、仕方なく洗濯して部屋干し。10月の滋賀での『無人駅の音楽会』も先週の十和田での『三本木散歩』も雨降らなかった。野外イベントがうまくいったから、自宅で作業の日は雨でも仕方がないか。本当は、畑の大根やかぶを間引きたかったが、作業できず。少しだけ雨があがったので、春菊も少し収穫して、大根、かぶも間引いて、鍋に入れて食べた。水戸でお土産にいただいた納豆も食べ終えた。美味しかった。ピアノの練習もして、荷造りして、明日からの遠征に備える。

 

少しだけ、アコーディオンと弦楽五重奏のアレンジ作業を進める。今年はピアソラ生誕100年なので、ピアソラ的な要素を入れたく、「なんちゃってピアソラ」ができるように、ピアソラを聞いて勉強。

 

問題行動トリオと十和田市現代美術館との打ち合わせ。インタープレイ展の第1期、第2期のパフォーマンスが終わり、最後の第3期のパフォーマンスに向けて。2月を予定。ワークショップなのか、公演なのか?参加型なのか、鑑賞型なのか?など、広報する上で明示した方が集客しやすいが、佐久間さんは、そのどちらでもないような境界をやりたいと言う。では、その境界をやるのだと伝えていくなど、不定形な公演がどのようなものかをテキストなどにしていく作業は、クリエーションのプロセスとして重要かもしれない。実際に現場に入って、即興的に作品が変容するとしても、何を目指し、何を考えているのかをテキストなどで残していく。深夜まで長時間の打ち合わせ、皆さんありがとうございました。

 

問題行動トリオ インタビュー:十和田市現代美術館 Arts Towada十周年記念「インター + プレイ」展 出展作家 - YouTube

 

 

 

 

きたまり/アリオーソ/編曲/だじゃれ音楽

来年3月に京都芸術センターで、きたまりさんが太田省吾の戯曲『棲家』をダンス化した公演で音楽をする。本日は、その打ち合わせ。きたまりさん、制作の山﨑佳奈子さん、ドラマトゥルクの新里直之さんと。太田省吾の戯曲に、バッハの『アリオーソ』が流れる場面が6回あり、この戯曲に従って、ぼくもバッハを弾くことになるのだろう。きたまりさんは、太田省吾の戯曲をダンス化する試みを始めていて、既にその第1弾をやったそうで、その時は台詞を全てダンサーが覚えた上で、その台詞を発語するのではなく、その台詞から振付を作ったそうだ。太田省吾の戯曲がどのように変容し、どんなダンス作品ができあがるのか、そこに音楽でどのように関わっていけるのか非常に楽しみ。せっかくの機会なので、太田省吾についても勉強したい。

 

打ち合わせが終わり、とりあえず、ネット上にあるバッハの『アリオーソ』のピアノ編曲譜面をいくつかダウンロードして弾いてみる。コルトー編曲のものは、半音高い変ロ長調になっている。しばらくは、『アリオーソ』に馴染んでみたい。

 

昨年、《Beethoven 250 迷惑な反復コーキョー曲》というアコーディオンとピアノの曲を作曲した。この曲の最後の部分を、アコーディオンと弦楽五重奏にアレンジするという依頼があり、これに着手する。コンサートのアンコール曲としての編曲。どんな感じにしようか考え中。

 

近所の整骨院に行ってみた。いい感じの先生でよかった。

 

音まち事務局と打ち合わせ。9月12日に『アジアだじゃれ音Line音楽祭』を開催したが、今年度の後半の「千住だじゃれ音楽祭」をどのようにするかについて。色々、面白いことができそう。

 

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四股1000で、1000回四股を踏み、リハビリ中。

 

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