野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

牛がゲップして温暖化する時代を生きる

タイのアナン・ナルコンから、「千住の1010人 in 2020年」のプランが届く。アナンは2014年の時には、「Super Fisherman」を作曲。その時に、巨大な人形を作って、パレードするアイディアを出してきたが、今回も巨大な人形の案が出てきた。今度は、巨大な人形が指揮者になる案。

 

https://www.youtube.com/watch?v=8tWu43Hc3Ng

 

日本センチュリー交響楽団の音楽ワークショップ・ハンドブックのための原稿執筆。昨日、潤さんと原稿を整理して、2−7章の原稿はメールしたのだが、8章の原稿だけ、ちょっと厄介そうだったので、今日にまわした。潤さんの原稿に対して、野村が付け加えたいことも多くあるので、潤さんと野村の対談の形に、全部リライトしてみる。

 

夜は、パリ在住のイタリア人で、Creative Mobilitiesを主宰するValeria Marcolinと再会。居酒屋で語り合う。乗り物(飛行機、電車、バス、車、など)と創造性を重ね合わせるプロジェクト。「千住の1010人 in 2020年」では、船や電車などでも演奏する予定なので、彼女のプロジェクトともリンクできる。また、アフリカの貧困地域に出向いて、アーティストや建築家を派遣してのプロジェクトもしていて、ぼくをアフリカに連れて行って音楽をしようと目論んでいる。

 

Home - Creative Mobilities

 

環境のこと、経済のこと、文化のこと、これら全てを持続可能にしていくことを考えているという彼女。ぼくのイギリスの友人には、地球温暖化に寄与するから、もう飛行機には乗らない、と言っている人もいる、と聞く。彼女は、昨年、毎月最低1回はアフリカに飛んでいた。彼女は、飛行機に乗ることで地球温暖化にマイナスな面もあるが、逆に彼女が活動することで環境破壊を止めるための活動もあるので、全体で相殺されてマイナスにならないようにしていくのが持続可能ということだ、と言った。そして、地球温暖化には、飛行機よりも、自動車の排気ガスよりも、牛のメタンガスが一番悪いと言われているのを知っているか?と言った。だから、牛肉を食べるのをやめることで、地球温暖化を止めることができる、と。

 

こういう情報のリテラシーは、本当に難しい。ネット上に情報は溢れているし、環境破壊や地球温暖化について、諸説あるし、学者が常に正しいことを言っているとも限らない。だから、短絡的に牛を育てることが一番温暖化につながっていると、結論づけようとは思わない。ベジタリアン地球温暖化に関する作品を何曲も作っているエマ・ウェルトンが、「でも、わたしチーズの味が好きで、チーズだけはやめられないの」と言った時、チーズと地球温暖化に何が関係あるのだろうと思ったけれども、牛のゲップが地球温暖化なのか。2020年って、牛のゲップと地球温暖化を議論する本当に近未来のような時代なんだなぁ、と思い、そのような時代に生き方/暮らし方を模索する機会を与えられていることを、なんだか有り難く思った。そして、ヴァレリアとアフリカにも行ってみようと思った。

 

それにしても、1月なのに随分暖かい。たまたまなのか、それとも地球温暖化なのか。

 

 

 

 

 

鈴木潤さんとワークショップハンドブックを執筆中

鈴木潤さんと、原稿執筆ミーティング。お互いの原稿を照らし合わせつつ、これから作るワークショップ・ハンドブックの構成を考えつつ、互いにツッコミを入れながら、楽しく執筆。

 

ワークショップの事前に環境をどう整えるかの章、コミュニケーションに関するエピソード満載の章、オーケストラ的を語る章、即興から作曲への章、リズムやグルーブに関する章、ピッチや無調など耳に関する章、その他いろいろ書いてある章、など。

 

これ以外に、イラストや写真で綴る名場面集の章の構想や、先生や施設職員とのコミュニケーションや打ち合わせに関する章も必要かも、と話し合って、今日の濃密なミーティングが終わる。

 

どんなハンドブックになるか、楽しみ。それにしても、鈴木潤さんというミュージシャンと、こんな作業をするなんて、意外で新鮮で本当に面白い。ぼくら二人のクラシックやオーケストラの門外漢が、日本センチュリー交響楽団と、ワークショップハンドブックを作成するなんて、不思議だなぁ。

 

 

 

原稿執筆と新年会

「帰ってきた千住の1010人」の作曲が終わったので、日本センチュリー交響楽団との音楽ワークショップのためのハンドブックの原稿執筆に着手。鈴木潤さんからは、大量に原稿が送られてきたが、ぼくは今日、一気に書く。

 

例えば、無調の話を書いた。楽譜のある音楽の場合、無調の音楽は、シャープやフラットがいっぱいつくので、初心者が無調の音楽を演奏することは、まずあり得ない。ところが、楽譜を使わずに、自由に即興で演奏して下さい、と言う場合、例えば、ピアノを習ったことがない3歳児がピアノを弾く場合、自然に無調になる。つまり、初心者こそ無調になる。だから、楽譜がない音楽では、まず無調からスタートというのは、自然な発想だったりする、などなど、いろいろな原稿を書いた。

 

里村さんの紹介で、文楽の番組などを作ったNHKのチーフ・ディレクターの上野さんのお宅の新年会を訪れる。初対面の方々がいっぱいだったが、ギタリストの渥美さんが突然、文楽の「寿式三番叟」をギターで弾き始めたので、ピアノでセッション。郡上八幡からやってきた盆踊りの達人が、「はるこま」や「かわさき」を歌い踊るので、ピアノでセッション。民謡をリサーチして熱唱するシンガーが、大分民謡を歌うので、一緒に弾いて欲しいというので、ピアノで熱く伴奏。最後は、ダンスミュージックになって、新内三味線の歌手も加わり、フルーティストも登場の大セッション。美味しいお雑煮と、数々の交流あり、久しぶりに再会する方々もいて、新年の宴はめでたかった。そして、邦楽や民謡に関心のある音楽家の方々に何人も遭遇しセッションしたのも、良い出会いだった。

 

帰って、また、原稿を執筆。ふーぅ。

 

 

 

 

「帰ってきた千住の1010人」作曲完了

メールに返信しようと思っても、うまく言葉で返信できないことがあり、ピアノの小品「生きる Hidup」を作曲する。2020年の第1作。

 

それから、「帰ってきた千住の1010人」の楽譜を書く。内容は今まであたためていたが、いよいよ手書きの楽譜を書く。手書きで、スケッチブックに鉛筆で書いていく。しっかり鉛筆を削って筆圧を強くしっかり書いていく。手書きになると、言葉遣いが微妙に変化したりしつつ、図や五線なども交えつつ、全16ページの楽譜に表紙をつくって完成。

 

「帰ってきた千住の1010人」(2020)

作曲 野村誠

 

1 ボロボロボレロ!ワンダフル!

2 ファンファーレ騒動

3 空耳ソーラン

4 どの方角、その方角

5 ケロリン

6 フォト グー ラファー

7 水分ホキュー&なわとビート

8 だじゃれの村祭り

9 ドミノだおシ

10   寿式サンバ奏+ケ茶+やっちゃいタイ

 

エピローグ 1005花火とカエル舞

 

そして、現時点で想定している編成人数の目安

 

ジャワ舞踊家            1

作曲家               3

野球選手              4

タイとインドネシアのゲスト音楽家  8

なわとび             10

凧あげ              10

パートリーダー          30

金管群              33

歌                50

写真撮影             50

マネジメントスタッフ       50

犬               101

打楽器群            150

笛群              150

鍵盤楽器群(+エレクトロニクス)160

弦楽器群            200

 

 

 

 

出演者1010人、絶賛募集中。こちらのサイトにて

https://aaasenju.wixsite.com/dajaremusic?fbclid=IwAR3rqOTC7FZ3oG2VaS-_EsWPNh_Lbbx9wSqdPjnh-A4AatZDAf-amzfO_P8

 

2014年の「千住の1010人」記録動画はこちら

www.youtube.com

皆さんのご参加、お待ちしております。

ピアノのツアー、火の音楽会のピアノ

鍵盤ハーモニカに関して、色々な国の人から時々問い合わせのメールが来る。今日もユダヤ人シンガーから問い合わせが来る。鍵盤ハーモニカに興味を持つ音楽家は、面白い視点を持っている人であることも多く、 Daniel Wolfという音楽家が以前、鍵盤ハーモニカの楽譜をまとめていた。ここにあがっている作曲家も、面白い人が多い。時間がある時に、もう少し丁寧に鍵盤ハーモニカ作曲家をリサーチしたい。

 

Melodica Anthology Contents

 

ジャーナリストの岡本さん、写真家の草本さん、コーディネーターの里村さんと新年会。十和田のピアノをめぐるツアーの動画や、千住の1010人の動画なども改めて見直して、また、YouTubeやネットでの様々な表現を検証して、今年、いろいろ始めたいことについて、語り合う。

 

www.youtube.com

www.youtube.com

「千住の1010人」について、いろいろアイディアが思いつく。その関係で、2004年に行った「火の音楽会」という過激で問題行動なワークショップの記録動画を見る。ピアノを燃やした時の経験。その後、青森でのピアノをプランターにして楽器にした経験。そうした経験なども、十和田でピアノを巡ったツアーと、繋がってる。

 

火の音楽会、当時のブログを読み直してみる。

 

「火の音楽」誕生日前夜 - 野村誠の作曲日記

 

「千住の1010人」のアイディアが、また膨らむ。

今年の抱負は脱皮

あけましておめでとうございます。

2020年

年越しに、除夜の鐘の響きを味わい、初詣は今宮神社に。

今年の抱負は、脱皮です。

脱皮の予感がしています。

 

船岡山を散歩。建勲神社に参詣、大徳寺を散歩し、佛教大学近くを歩くと、1000Kitaという団地でアートプロジェクトの場所に遭遇。近所なので、また、遊びに来てみたいものです。

 

夜は、船岡温泉へ。

あとは、Mind Your Languageという英語教室コメディ番組を見て笑いました。

https://www.youtube.com/watch?v=vhd1IqNM3M8&list=PLfXlO2knSic-CrU7h_EIzrM5jWu-p3zUB&index=1

 

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2020年前半の野村作品上演予定(こちらが把握しているもの)は、以下の通りです

1月18日 「おっぺけぺーの種を蒔け」(2014/2018)

(清水友美ピアノコンサート) (ピアノソロ)

 

2月15日 「相撲ノオト」(2019)(會田瑞樹リサイタル)
     (ヴィブラフォン独奏)

https://phoenixhall.jp/performance/2020/02/15/10105/

 

3月1日  「新曲」(2020)(世界のしょうない音楽祭)
     (約50名のワールドミュージックオーケストラ)

https://www.city.toyonaka.osaka.jp/jinken_gakushu/bunka/event/ev_music/a001010040010.html

 

3月10日 「アコーディオン協奏曲」(2008)(大田智美リサイタル)     (アコーディオンと弦楽5重奏による)

http://www.tomomiota.net/

 

3月28日 「Beethoven 250」(2020)(豊中市立文化芸術センター)  (アコーディオン+ピアノ)

 

3月29日 「Japansta」(2006)(豊中市立文化芸術センター)
     (尺八、箏、十七絃

 

4月12日 「オリヴィエ・メシアンに注ぐ20のまなざし」(2018)、「メシアンゲーム」(2020)(愛知県芸術文化センター
     (2台ピアノ)

https://www-stage.aac.pref.aichi.jp/event/detail/000304.html

 

5月31日 「帰ってきた千住の1010人」(2020)(千住まちなか)
     (1010人の大アンサンブル)

https://aaasenju.wixsite.com/dajaremusic?fbclid=IwAR0Q3BhcSfljRo3hpI-WKTaUXHZAV7d-iqzwHKK2DdQVBMeTl6IlN1dZdZo

おくだりょうとひとりひょうたん楽団「とちうで、ちょっと」

ひょうたん型のCDが届く。

おくだりょうとひとりひょうたん楽団「とちうで、ちょっと」

 

奥田扇久さん=奥田亮さん=おくだりょうさん、と出会ったのは、30年前。京大の学生をしていた頃。ジョン・ケージ京都賞受賞に合わせて、3日間で40演目(ケージの作品だけでも10曲)を演奏する演奏会「ケージバン」を主催した時。この時は、「三輪車と丸太んぼう」というパフォーマンスを奥田さんと二人でやった。丸太を引きずって、その引きずる音を会場内に響かせる奥田さん。半ズボンで三輪車に乗って会場内を移動する野村。奥田さんは、人間バチと化して、大太鼓に向かって倒れこむ。

 

その後、ひょうたんを栽培し、ひょうたんから楽器を創作して演奏するようになった奥田さん。しょうぎ作曲祭りなど、様々な場面でご一緒した。奥田さんの初のソロCDが出た。ひょうたん楽器の本当に素晴らしい音色。架空の民族音楽のようで、どこかにありそうで、どこにもない音楽。

 

また、ご一緒できる日を楽しみに。

 

買い物と大掃除の大晦日に、最高の BGMでした。