野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

テアトロ・ムジーク・インプロヴィーゾ

城崎国際アートセンターでの滞在制作。ダリオ・モレッティ(美術家)+やぶくみこ(音楽家)+野村誠(音楽家)による「テアトロ・ムジーク・インプロヴィーゾ」という舞台芸術ユニット。2016年に結成し、イタリアのマントヴァのフェスティバルで好評を得て、現在、日本で新作を創作中。美術と音楽で、言葉を使わずに進める演劇は、時に影絵芝居のようであり、時にライブペインティングのようであり、時に紙芝居のようでもあり、時にアニメーションのようであります。抽象の世界と具象の世界を自由に行き来し、空想の世界と現実の世界を行き来する。子どものための演劇を40年続けてきたダリオは、実は、「子どものため」だけではなく、心の中に子どもが住んでいる全ての大人のためでもあり、言葉を使わない演劇は、意味や論理を越えて、子どもにも大人にも、感性に訴えかけてきます。そして、言葉を介さないで視覚と聴覚に訴える演劇なので、国籍/年齢に関係なく、それぞれの経験に照らして楽しむことができる舞台作品なのです。

このユニットは、「テアトロ・ムジーク・インプロヴィーゾ」という名前がついているので、即興をするグループと勘違いされるかもしれません。3人は創作の過程で何度も何度も即興をして作品をブラッシュアップしていきますが、最終的な作品は、即興の要素はほぼなく、フィックスされた舞台になるでしょう。

ということで、滞在制作の9日目となる今日も、ダリオさん、やぶさんとのクリエーションが続いています。ダリオの描く様々な絵を見た後に、実際にアートセンターの外の世界に出かけると、山々や川や石ころや、月や虫や、色々なものが、昨日までと違った表情で見えてくるから不思議です。外の世界に来たのに、まだ物語の世界の中にいるかのようで、木が急に話しだしたり、落ち葉が踊りだしたりするのです。自分たちの周りにいる愛すべき物たちの声が聞こえてくる。ダリオ、やぶさん、ありがとう。

チェロ協奏曲「ミワモキホアプポグンカマネ」は校了なので、譜面を送信!こちらは、8月23日に世界初演です。