野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

愛知大学 数字のアンサンブル

豊橋愛知大学へ。豊橋駅で、ばったり東京の知人と出会い驚く。あいちトリエンナーレの展示を見に来ているようだ。

愛知大学に行くと、午前中は、ダンサー新井英夫さんの授業があり、終わりかけていたところ、吉野さつきさんのリクエストがあり、3分だけ、野村のピアノと新井さんのダンスで即興パフォーマンスをする。新井さんの動きは大変魅力的で、これは面白いので、また、どこかでやりたい。新井さんは、ワークショップも素晴らしく、話も上手で、ということは、知っていたのですが、実はダンスと音楽でセッションさせていただくのは初めて。貴重な機会でした。

午後は、ぼくの授業。2年生。まずは、ぼくがモンポウの「Musica Callada」の中から何曲か弾いて、それについて語るところから始まる。学生さんが、ぼくのズボンに数字がいっぱい書いてあるし、数字が好きなのか?と質問があり、数字から作曲してみることに。

数字を羅列して、トーンチャイムを鳴らしながら、どの数字の音がどれかを決めていく。こうした作曲作業を野村がリードするのではなく、ほぼ全てを学生たちが相談して決めていくように、委ねた。というのも、先週の授業で、学生たちが「何が正解なのか」を探りながら動く傾向があることを知ったので、先生が方向付けしてくれる正解を探る受け身なアプローチではなく、自分たちだけで、話し合いながら主体的に決めていくことが、この授業で必要だと直感したから。委ねてみると、学生たちは、徐々に主体的に動き始め、面白いメロディーが生まれてきた。

さらに、その羅列した数字をリズムと見なして、そこから、打楽器アンサンブルを作っていくという課題も出した。リズムをとるのに、言葉をあてはめる、という方法は提示したけれども、そのままやると、明らかに変拍子になったりして、難しくなる状況のままの課題にしました。その中で試行錯誤して、話し合いながら、決めていくプロセスは、とても良かったし、最後に出来上がった音楽は、非常に複雑な打楽器アンサンブル。15人という人数で、話し合いながら、自力でそのようなものが作れたことは、自信を持っていい、と伝えた。

愛知大学の学生の卒業制作の展示の準備状況を見学し(なかなか頑張っていました)、京都に戻る。