野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

領域横断の人が出会う場について

昨日の杉原邦生くんの「ハムレット」の余韻を感じながら、「千住の1,010人」の作曲を続ける。あれだけ濃密に作り込んだものと違って、1,010人は全員で何度も練習するわけではありません。みんなが集う祝祭としての音楽であります。では、自分だったら、どんな祝祭を演出するか、ということで、もう一度、楽器編成を見直しております。こんな楽器もあると参加しやすいのではないか、という視点をなしにして、1,010人で野村がやりたい音楽を実現するのに真に必要な楽器だけに、もう一度、限定してみようと、楽器を再考しました。それだけの演奏者を事務局が集められるかどうか、を考えることはやめました。ぼくの都合で、やりたいことを提示するのが、ぼくの役目で、あとは、それに最大限応えてもらおう。

と、午前中に少し譜面を書き進めて、午後は、京大の東南アジア研究所内で、APIフェローシップをやってみてどうだったかを評価するインタビューを受けてきました。個人的には、このAPIフェローシップという集まりに可能性を感じていますが、そのポテンシャルがまだ十分に発揮されきっていないことに、苛立ちも感じています。ぼくの提案としては、

1)日本国内のフェロー間での相互交流exchangeに関しては、領域横断で、専門外の分野の人とインスピレーションを交換できるAPIワークショップフォーラムのようなことを行っていく。ここでは、領域横断に重きを置き、成果をあげることをねらわない。
2)東南アジアの国々のフェローと複数国に渡って行うコラボレーションに関しては、まず似た領域のフェローで集まり、成果があがりそうなプロジェクトを次々に行う。ここでは、複数国での相互交流を促進することに重きを置き、領域横断には重きを置かない。

上記の二つの方針で進めていけば良いのでは、と提案しました。1)と2)を2015〜2019まで5年間継続していけば、2020以降は、領域横断かつ多国籍のコラボレーションも、可能になり得ると思いますし、そのための下地づくりとしての提案です。

夜は、あれからどう会。本日は、米田量さんのインタビューだったのですが、米田さんがご自身のプレゼンをするために、12人の面白い人をゲストに招聘。そのゲストの方々を紹介することが、米田さんの自己紹介になる、という非常にスリリングな時間でした。そして、そこに来られている方々が、本当にユニークな方々であり、それこそ領域を横断して人々が交わる場を、それぞれの形で提供していることに感銘を受けました(しかも、それを人のためにやっているのではなく、自分の興味を追求する中で実現している!)

ということで、深夜まで語りながら、1,010人という場についても、よきヒントをいただいたように感じました。