野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

永久に放棄する

砂連尾理さん、砂連尾瞳さんのご夫婦と、久しぶりに会って、お話をした後、西部講堂でのライブ。ツィゴイネル曲芸楽団、MI-Iさん、朴保さん、などの熱いライブの後、ぼくの出番は、予定では22:30。実際は、24時頃か。音響のスタッフの一人は、大阪のため既に帰ってしまい、転換のBGMもかからない状態で、セッティング。観客の多くも、明日は月曜日なので、帰っていましたが、それでも残っている方々もおられて、頭が下がります。

そして、今日は、これをやろうと決めていたので、日本国憲法第9条のテキストを吟じながら、ピアノを弾きました。有名なテキストですが、敢えて、ライブの場で、楽器にのせて歌ったら、しかも、即興演奏をしたら、何が起こるのか、何を感じるのか、やってみたいと思って、挑みました。そして、憲法9条に関する見解は一切言わず、ただ9条を歌う、演奏する、ということを試みました。

『日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。』

「永久に」という言葉と、「放棄する」という言葉が、特に印象に残り、何度も何度も、「永久に〜〜〜」、「放棄する〜〜〜〜〜」と歌いました。そして、即興演奏のトンネルの中に入っていきました。憲法9条の文章は、大変美しく、そこには並々ならぬ覚悟と決意を感じました。この決意の重みというものに向き合うことは、何かしんどく、国権⇒黒鍵⇒コケコッコー、にわとりを鳴かせながら、こけーこここここコクミン!、こけーこっこっこっこっ国際平和、こけーこっこっこっこっ国際紛争、とやりながら、どこかに解決の糸口を見出そうと、もがく即興演奏でした。戦没者の霊や、西部講堂に住む魑魅魍魎とも対話をしようと、客席のみならず、天を仰ぎ演奏したりしました。1946年11月3日から、60年代、70年代を経て、20世紀から、21世紀、2014年、気がつくと、足踏みオルガンを弾きながら、80世紀と、ぼくは語っておりました。「80世紀に何を残す」と歌っていました。

この長い即興演奏の後、「DVがなくなる日のためのインテルメッツォ」を演奏し、アンコールがあったので、「鍵盤ハーモニカイントロダクション」を演奏しました。このような機会をいただき、感謝します。

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。