野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

音楽は音楽で自立する

ようやく自宅です。インドネシアとタイの調査内容を記す論文を書いております。原発のことをテーマに掲げており、ちゃんと考察しないとなぁ、と書いていて、はっきり自覚しました。結局、当然のことなのですが、音楽の自律性を守ることが大切、ということです。もちろん、プロテストソングなども重要なのですが、音楽を何かのメッセージを伝えるための道具にしないで、音楽として自立すること。そのことが大切ですし、インドネシアとタイでのコラボレーター達は、そのことに徹してくれました。

原発と音楽を無理に関連づけようとしなくても、音楽が雄弁であれば、その音楽は原発にも関わる様々なメッセージを発してしまうはずです。だからこそ、自由に表現する日常を保証すること。自由に音楽をする場を保証すること。人々が自分の感性で判断し表現する世界を保証すること、そのことこそが、実は最も原発の存続を揺るがす活動にもなり得るのかもしれません。

他にも、狂気が作曲に入り込む隙間を用意する、とか、色々面白いことが浮かび上がってきます。論文を書くのも滅多にしないことなので、面白いです。

あとは、東京オリンピックの開催が決まってしまい、東京都の文化発信プロジェクトとも仕事をしている者として、今後、どういうつもりで、東京での仕事をするのか、一度、自分に再確認する作業をしないと、自分の足下がぐらつきそうな危険性を感じました。また、落ち着いて考えてみます。

あと、10月1〜6日に開催する展覧会のチラシが完成しました。嬉しいですが、展覧会に向けて、ちょっとずつ準備中です。