野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

第6回JFC作曲賞の本選、いよいよです

第6回JFC作曲賞の本選会が、いよいよです。ぼくは、日本作曲家協議会の会員ではないし、第1回〜第5回のJFC作曲賞のコンサートを、一度も見に行ったこともなかった人間です。しかし、今回、審査委員長の三輪眞弘さんの指名で、ぼくは審査員に任命されました。ですから、過去5回のコンクールのことは、よく知りませんが、今回を歴史的なコンクールにしたいという何らかの意図があって、呼ばれたのだろうと考えて引き受けました。三輪眞弘、中川俊郎、野村誠という3人が審査員をする作曲コンクールは、日本の現代音楽界では、かなり画期的な出来事でしょう。そして、ぼくなりにベストを尽くして、その任に応えてきたつもりでおります。

譜面審査での予選会で、我々3人は全力投球で、できる限り意欲的な野心作を7作選出したつもりです。入選作品には、鍵盤ハーモニカの9重奏の作品なんかもあり、邦楽や雅楽の楽器の混合の9重奏の作品もあり、ライブハウスのようにPAする曲もあり、楽器を持った演奏者がほとんど楽器で音を出さない曲もあり、演劇の台本のような曲もあり、非常に美しく繊細なテイストの曲も、エネルギッシュで野蛮なテイストの曲もある、というだけでも、バラエティに富んだプログラムだということ、想像できると思います。今の日本の若手作曲家達の現状は、こんな感じである、ということを体験していただける一夜になります。ぼくも、この7曲を一夜で聴くこと自体が、本当に楽しみなのです。

入選作は7作品ですが、舞台にあがる演奏家の数は総勢50名を超えます。もはや、これは作曲賞の審査会というよりは、三輪+中川+野村がディレクターの若手作曲家の現在に焦点をあてたフェスティバルと言った方がいいかもしれません。

例えば、演劇のような台本のような楽譜を書いた作曲家も選ばれています。それを、音楽関係者の間だけで審査するのではなく、演出家や俳優など舞台関係者の人にも、彼の作品を見てもらいたいです。どこが良いのか、どこがダメなのか、どういう可能性があるのか、舞台人の目から、率直な意見をいただきたいのです。そういう意味で、現代音楽なんか全く興味がない、という舞台人にも来て欲しいな、と思っています。

11月11日(金)18:30開演、トッパンホールです。こういったことに関心を持ってくれそうな方に、この情報を届けて、来ていただけたらなぁ、と思って宣伝しております。