野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ピアノの修行にインドネシアに行きます

どうにも変な考え方ですが、こんな確信に満ちてきました。つまり、こういうことです。

2006年度は、ぼくは非常に働きました。

NHK教育テレビ「あいのて」の番組監修
えずこホールの十周年の音楽劇の総合監修
取手アートプロジェクト2006のゲストプロデューサー
コラボシアターフェスティバルのディレクター

と、監修をいっぱいやりまして、、、、、まぁ、働き過ぎです。充実してましたけど。

そんな野村誠を、監修をしない普通のミュージシャンに引き戻せ、というメッセージを送ってくれたのが、ぼくの鍵盤ハーモニカバンドのP-ブロッが企画した「野村IDを惑わせろ!」というコンサート。2007年6月のことです。

「野村ID」とは、野球の野村監督と野村誠をかけているのでしょう。で、このコンサートは、野村誠は、一切、企画を考えない、曲も作らない、メンバーに指定されたことを、一人のプレイヤーとして演奏する、というものでした。まぁ、「野村君、まだ監督やるの早いよ。君、プレイヤーとして、まだまだやれるんだから、こっちに戻って来い!」
と言われているような気分でした。

もちろん、プレイヤーとして引退したつもりはありませんが、もう一度、プレイヤーとしての野村誠に立ち返ってやり直してみたい、と思い直すきっかけになりました。本当に、仲間とは有り難いです。そして、そう考えた時に、ピアノを購入し、自宅にピアノを持とうと決意しました。2007年の秋に決断して、12月にピアノが家にやって来ました。

そのピアノの選定にも、力になってくれたのが、調律師の上野泰永さんです。ピアノの調律の実験のために、個人ホールを作ってしまった上野さん。そのホールでピアノを良い状態にするために試行錯誤して、Stimmfutureというインシュレーターを開発して、現在進行形にピアノについて思考する上野さん。今日は、上野さんと久しぶりに会って、お話をしました。

ぼく自身、自宅にピアノを持つようになり、プレイヤーとしての自分を大切にしながら、創作活動をすることになりました。ピアノのソロ演奏を増やし、ピアノのための作品を増やすようになりました。「福岡市美術館」、「老人ホーム・REMIX」、「福岡市博物館REMIX」、「Keyboard Choreography Collection」などなど、近年のぼくの作品は、ピアノに関するものが多くなっています。

そんな今、半年間、インドネシアに行きます。インドネシアに行ったら、自宅にもピアノがない生活になります。でも、インドネシアでこそ、ピアノのことをやろう、と強く思えてきました。インドネシアでピアノを弾いたり、ピアノのワークショップをしたり、ピアノの即興をしたり。また、ピアノのない場所でも、耳や身体を鍛えながら、自分なりのピアノの修行をしたい。インドネシアでしかできないピアノ音楽を、インドネシアで修行する。インドネシアに行って、ピアノについて、全く別の角度から考え直すきっかけを探しに、ピアノの修行をしに、インドネシアに行くのだ、と強く思いました。

そう思わせてくれたのは、出発直前に電話してきてくれて、「是非会いましょう
」と誘ってくれた上野さんのおかげです。帰国後も、上野さんのホールで、何か一緒にやれたらいいなぁ、と思いました。ありがとうございます。いってきます。

http://www.stimmersaal.com/