武蔵野美術大学に行って、レクチャー+岡部あおみさんによるインタビュー。
岡部さんは、長くフランスに滞在されていて、ポンピドゥーセンターなどでキュレーターをされていた方ですが、10年前より武蔵野美術大学の芸術文化学科の教授をされているようです。長くフランスに滞在されていたので、日本の現代アートを取り巻く環境がどうなっているのかを、単純に知りたくて、学生達と共同で、日本の現代アートに関わるアーティスト、ギャラリスト、キュレーター、批評家、コレクターなどに、インタビューをして、それを
- 作者: 岡部あおみ
- 出版社/メーカー: 武蔵野美術大学出版局
- 発売日: 2005/03
- メディア: 単行本
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という本にまとめとおられます。ぼくも、この本を読み始めましたが、非常に勉強になります。
なおカルチャーパワーの全インタビューは、以下のウェブサイトで読めます。
http://apm.musabi.ac.jp/imsc/cp/
美術大学に音楽をやりたい学生が何人もいたことには、衝撃でした。つまり、高校時代に音楽を専門にやりたい、と思った時に、クリエイティブな人が音楽を学べる音楽大学がなく、高校の先生に、「美大に行っても、音楽はできる」と言われて、美大に来たというのです。現状では、「音大に行っても美術はできる」ような音大は、(少なくとも日本国内で考えて)皆無でしょう。音楽をやりたくって、行く音大がない、というのは、相当問題です。多くの音大は、(西洋クラシックにしろ商業音楽にしろ)職業訓練学校になっているようで、それ以外の適切なコースがないのです。
サウンドスケープ・デザインについての話も出ました。都心は音が飽和状態で、酷いです。学生達は、ほとんどi-podなどで音楽を聴いて、外部の音を遮断して、自分のパーソナルな音楽を聴いて過ごしているそうです。逆に言うと、音が飽和して、うるさいから、それを遮るために、みんなが音楽を聴く。そうすると、そういう人にも聞こえるように、駅の構内アナウンスの音量があがる。音楽を聴いていない人には、堪え難い音量になる。悪循環の連鎖です。駅の発車前に流れる音楽、あれも、サウンドデザインではなく、メロディーなのですよね。日本は、ヨーロッパの教会の鐘みたいにメロディーになっているわけではなく、お寺の鐘の音も一音だけだったりするので、駅ごとに、違う音色の一音とかでもいいのではないかな、と思ったりします。その代わり、とびっきりの音色の音を。
岡部さんの学生たちが、なかなか良い感じでした。講義の終わった後、スタッフなどの学生と1時間くらい話をして帰ろうと思っていたのですが、そして、集まった学生は、7〜8名だったのですが、彼女ら/彼らの質問に答えて話すこと2時間以上。7人くらいで、2時間以上、質問したいことがあり、話したいことがある、というのは、素晴らしいことです。
展覧会のキュレーターにあたるような仕事を、音楽でやりたい、と思って、ぼくは、鍵盤ハーモニカトリオのコンサートをやっているのかもしれません。野村誠セレクトのお薦め作曲家に委嘱した作品を、12曲、ご紹介するコンサートを今度の日曜日にします。鍵盤ハーモニカの3重奏、3分の曲、という条件で、現代の作曲家が書いた魅力溢れる小品をまとめとご紹介します。入場無料なので、皆さん、是非お越し下さい。