野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

あいのてシンフォニー

いずみホールでのコンサート

前半は、「あいのて」でやっていた曲。クラシックのホールの響きで「あいのて」の曲をやると、こういう音になるのか!イシテクノもクラシックサウンドになりました。

続いて、あいのてさん3人のソロ。鍵ハモのソロは、ギャラリーやライブハウスなどではやったことはありますが、クラシックのホールでは、多分初めて。やっぱり、響きと反射音を味わいたくなりますね。

マリンバとピアノの「くつがえさー音頭」。今回は、マリンバが手に入らず、シロフォンでした。シロフォンの調律が相当狂っていたのが、かなり惜しい。クラシックのホールだと、余計にピッチの狂いが、聞き苦しい。そういういくつかの悪条件での演奏でした。初めて、この曲を暗譜で弾いて、まずまずの演奏ができたかな。これから、もっと再演していきたいです。

そして、ワークショップでの新曲「あいのてシンフォニー」。

まずは、「口の宇宙」。未就学児の入場がOKで、しかも、すごく響くホールなので、客席でのちょっとのノイズもすごく聞こえる音響のホールなのです。舞台で歯をカチカチ鳴らす音が、客席のざわざわにかき消されるのではないか、と不安でしたが、司会者の力もあって、そして、演奏も頑張ったので、お客さんが小さな音を集中して聴いてくれて、本当に良かったです。

続いて、鍵盤ハーモニカによる「ヤギふんじゃった」。鍵盤ハーモニカチーム、みんな練習してきたのか、メロディーを完璧に演奏できました。多分、もっともっと、色んなことができる子ども達なんでしょう。普段、子どものワークショップなどでは、楽器の経験不問として募集することが多く、そうなると、得意な楽器がある子が能力を発揮しにくい場面も多いのですが、今回は、この音楽好きで鍵盤が得意な子たちが、大活躍できて、良かった。この子たちと、後、1、2回でも余計にワークショップをしたら、もっともっと、鍵盤ハーモニカを深めることができたかなぁ、と思うと、こういうのを、またやりたいなぁ、と思いました。

三つ目は、片岡チームの「ずっこけ指揮者とずっこけこっこー」。鍵ハモチームの子たちが、今日覚えた「ずっこけ」の変拍子のリズムを、頑張ってやってくれました。ただ、ずっこけ指揮者の合図が、ずっこけすぎで、ほとんど分からず、子どもたちが、なかなか演奏に加われず、ちょっと惜しかった。作曲のワークショップだったのですが、演奏のワークショップもやらなくてはいけませんねぇ。

4つ目は、「ヤギふんじゃった」の歌バージョン、口笛つき。この歌は、かなりやばいです。ピアノ伴奏しながら、じーんときてしまいました。どうも相当名曲のような気がします。これから、色んなところで、この歌を歌っていきたいと思います。「ワニバレエ」とは全然違うタイプの歌ですが、「ワニバレエ」のように流行ってしまうかもしれませんねぇ。

そして、子どもたちとやった最後は、ペットボトル60本。本番での子どもたちの演奏、びっくりした。リハーサルの3倍の音量が出ていて、ピアノを弾いても、ピアノの音が完全にマスキングされてしまうのです。しかも、テンポがすごいアップテンポ。子どもたちの中にある何かが、この音楽になって出てきているような感覚を持ちました。で、この音楽、いつまでたっても終わらないのです。終わらせようと合図をしても、終わりそうで終わらない。というのも、この曲の演奏が終われば、このワークショップでやる音楽も終わりです。子どもたちの中に、終わりたくない、もっとやりたいよ、という気持ちの子が、何人もいたのでしょう。それなら、もうちょっとだけやらせてあげよう、とぼくも、甘いので、この曲は、10分以上続いてしまいました。

「くつがえさー」までは、ほぼ予定通りのタイムテーブルで進んでいたのに、終演時刻は予定より20分近く遅くなっていました。子どもたちとのコーナー、一つ一つをかなりじっくり味わってしまったようです。でも、ホールでの響きを、子どもたちにもお客さんにも、じっくり味わって欲しかったし、ぼくも味わいたかった。そして、じっくり味わえたと思います。というわけで、休憩なしで1時間50分のコンサートをやってしまいました。そして、それなのに、最後まで集中して聴いてくれたお客さん(小さな子どもも)たちに、感謝です。

ライブ後、いろいろ反省する中で、「あいのて方式」について話し合いました。「あいのてさん」ライブを重ねる中で、決まってきたスタイルのことです。例えば、客席を暗くすると、暗いということだけで泣いてしまう子どもが出るので、客席は明るくする。床座りよりも、椅子に座った方が、子どもがじっくり聴こうという気分になるようだ。昼寝の時間を避けてコンサートをする方が、よい。などなど。

ちなみに、7月24日のあいのてさん+チャンキー松本さん+奥田扇久さんのライブの音が、少しだけ以下のページで聴けます。どうも少し回転数の違ったレコードを聴いているような録音ですが、なかなか面白く聴けます。
http://blog.kansai.com/chanoma