野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

動物の演劇、本番まで4日

京都芸術センターでリハーサルです。14時入りして、まずは大田智美ちゃんと二人で音楽のリハーサル。ダンサーと組んでの練習中はダンスとの兼ね合いで色々なことが出てくるので、まずは音楽チーム2人の呼吸を合わせるべく、曲の細かいところをチェックしていきます。

で、15時半に劇場入りして、今度は音響のチェック。昨日、一応、1曲ごとの音響の設定は決めたのですが、今日は録音機材とヘッドフォンを持参し、1曲ごと客席で録音して、その場で音響プランを修正していく作業をしました。

そうこうしているうちに、ダンサーもやって来て、16時15分ごろに、衣装、照明付きで場当たりが始まりました。で、最初のシーンから段取り、照明、音響、ダンス、音楽をチェックしながら、進めて、4曲目が終わったところで、もう19時。1時間の夕食休憩を挟んで、20時〜21時半と続きましたが、最後までいけませんでした。この続きは、また明日。

音楽チームの方は、智美ちゃんと音響の宮田さんと3人で、かなり細かい作業を進めていい感じです。ピアノに入れたマイクの位置をかなり意表をついた場所に入れた方が音のバランスがよくなることが分かってきました。とにかくホールの残響がないので、残響を補うためのPAなので、直接音より響きを増幅したい。ということで、明日はピアノの下にマイクを入れてみようと考えています。

残くんの方は、即興をテーマにしてやっているようですが、ダンサー達が安易な即興に走るのを妨げるべく、どうも制約を次々に課しているようです。だから、ダンサー達は、不自由になっていきます。不自由な中から生まれる自由の隙間を見つける格闘が、ダンサーと演出家の間で繰り広げられるのでしょう。演出家は、自由には動かせてあげないけど、動けるものなら動いてみなさい、とやります。ダンサーは、制約がいっぱい課されても、それでも隙を見つけて、動いてやろうじゃないの、とやってくれるはずです。ただし、今日は、急に増えた制約の力が強いので、ダンサーからの反撃はまだまだこれからです。そして、ぼくたち音楽家は、ダンサーの反撃を応援するような演奏をして、いっぱいサポートしつつ、しかし、時に演出家の応援をして、ダンサーたちを音で縛りつける。非常においしい存在です。その場その場で、どちらに肩入れしていくのかを、即興でやっていけるわけで、かなり楽しいです。ただし、今はそれもやらずに、ただただ環境づくり、音響のチェックと段取りのチェックをしています。楽しみは、本番にとっておきます。

これは、本当に面白いです。

帰ってからも、今日の録音を何度も聴いて、チェックしています。