野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

桃太郎第3場のリハーサル

スペース天に行って、ガムラングループのマルガサリとのリハーサル。インドネシアのジャワのガムラン音楽を追求するグループで、2001年から、楽舞劇「桃太郎」の創作に取り組んでいて、ぼくは、その音楽創作のまとめ役をしています。

全5場通して上演すると、2〜3時間かかる大作です。今日は、第3場の音楽を、練り直しました。前回のリハーサルであまりにも酷かったので。

1場ごとに違った音楽の作り方をしていますが、第3場の音楽は、ガムランとは無関係の色んな音楽のスタイルをガムランでやっていくシーンです。ロックになったり、演歌になったり、クラシックになったり、現代音楽になったり・・・。そういう音楽を、ガムランだけでやってみようとするけど、それっぽくなりきらない。そんな音楽に満たされる場面です。

キジが演者が変わったので、曲を変えたいということになり、本人のイメージに沿った曲ということで、大熊亘さんのCDを聴く。日本人がルーマニアの音楽を真似した感じを、さらにガムランで真似する。16分の11拍子の曲をやるけど、今ひとつ、パッとしない。ちょっと、1フレーズが短くて、うまく踊れないらしい。そこで、やっぱり大熊さんの真似をするのはやめて、ぼくが16分の15拍子の曲を考えました。こっちの方が、断然、のりがいい。

それから、「ババアのアリア」のアレンジ。シトゥルがチェンバロの音に聞こえるように、消音をきちんとしてもらったり。「イヌロック」は、ペロッグの4の音と5の音をうまく使いわけてアレンジ。「たまご大王のテーマ」、「空手家のテーマ」、「哲学者のテーマ」などを、細かく手直しして、最後の鬼が島に向かうシーンの歌に対するガムランの演奏が合っていなかったので、そこを全面的に変えました。これは、3年前の初演の時から、時間が許せばやりたいと思っていたのですが、毎回、稽古時間が短いので見送っていました。アレンジしなおして気づいたのは、桃太郎たちが、3年間歌ってくる中で、1箇所だけ1拍欠如してしまい、4拍子の中に1箇所だけ3拍子があるのです。それに、ガムランが合わせることで、問題も解決しましたし、随分、歌も音楽も生きてきました。

来週の練習では、第4場、第5場をやります。
本番は、9月10日です。