野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

オーケストラのための本

鈴木潤さんと打ち合わせ。日本センチュリー交響楽団がつくる(オーケストラプレイヤーのための)「ワークショップハンドブック(仮称)」の原稿執筆のための。

 

そもそも、オーケストラがなんでワークショップするの?どうして、オーケストラと縁が遠かった鈴木潤野村誠がこれを書くの?色々な疑問を抱えながら、話し合う。参考までに、日本センチュリー交響楽団マネージャーの柿塚さんが、野村を招き入れる前に、イギリス視察の報告会をしている時の動画も、見てみる。(以下の動画の1時間41分頃から)

 

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また、野村が昨年イギリスで発表した動画も見てみる。

 

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野村も鈴木も、オーケストラプレイヤーではない。野村も鈴木も、クラシック音楽家でもない。にも関わらず、オーケストラプレイヤーやクラシック音楽家を対象としたハンドブックを執筆する。そこで、野村と鈴木が、オーケストラプレイヤーの立場に親身になって立とうとして書くのは、ちょっと違う気がする。それよりは、オーケストラやクラシックの世界の部外者としての立ち位置から、しっかりオーケストラやクラシックに物申す。ぼくら部外者だからこそ言えることを書く。まず、そこの立ち位置確認できたことが大きかった。そうなった途端に、どんどんアイディアが出てきた。

 

お行儀のよい教科書のような本だったら、鈴木潤野村誠が関わる必要なんかない。とりあえず、エッジのきいた本、偏りまくった本、ぼくらじゃないとできないような本、そうしたものを書こうと方針をかためた。明日から、二人で集中執筆だーー。

メメットの新曲

ポーランドで風邪をひいたが、ようやく回復。今朝は、鍼灸治療で、体調を整えてもらう。回復の兆しあり。

 

午後は、即興のピアノを教えるレッスン。ノムラとジャレオとサクマの「問題行動ショー」の記録動画を、見直したりもする。砂連尾さんと佐久間さんのデュオダンスに感動し、巖埼さんのヴァイオリンと吉岡さんのクラリネットに感激し、香港のi-dArtのメンバーの即興力に感銘を受ける。ポーランドでいっぱいピアノを弾いたが、今日のレッスン中もいっぱいピアノを弾いた。

 

夜は、音楽を教えに行く予定だったが、生徒がインフルエンザでキャンセルになった。インドネシアのメメット・チャイルル・スラマットから「千住の1010人 in 2020年」のための新曲の楽譜を届くので、そのアレンジ作業をすると同時に、野村の「千住の1010人 in 2020年」のための新曲の作曲作業を延々と続ける。五線紙で作曲するのではなく、だじゃれで作曲する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コミュニティ音楽に関する論文

昨夜9時半に就寝し、起きたら午後1時。15時間半連続の睡眠で、少し時差ぼけや疲れがとれたのか、と思う。

 

久しぶりに、メールなどの返信をする。大阪音大の井口淳子先生の論文「コミュニティ・アートとしての音楽」が、大阪音大研究紀要に掲載されるらしく、最終稿が送られてくる。「世界のしょうない音楽ワークショップ」を5年間に渡って観察/調査。また、カナダのFiona Evisonの博士論文「From Art Music to Heart Music -The Role of the Composers in Community Music 」も送られてくる。コミュニティ音楽における作曲家の役割に関する論考。こうした分野の実践に対して、少しずつ研究が始まっていて、論じられることも増えてきている。時間のある時に、ゆっくり読んでみたい。

 

来年度の「問題行動トリオ」の活動のためのミーティング。コーディネーターの里村真理さんと、「問題行動トリオ」の砂連尾理さん、佐久間新さん、野村誠で。来年度も、いろいろ活動ができる予定で、近々、情報も公開になる予定。お楽しみに。

 

その後は、砂連尾瞳さん、ウイヤンタリさん、池上恵一さんも合流し、忘年会。2019年には、いろいろなことがあったが、「だんだんたんぼに 夜明かしカエル」と、ノムラとジャレオとサクマの「問題行動ショー」は、とりわけ印象深いものだった。語り合って後、ポーランドの様子を写真と動画で報告。いつか、ポーランドでも「問題行動ショー」をやってみたい。

 

メリークリスマス!

 

 

Leon Lewandowskiのポーランドの民俗音楽

朝、関西空港に無事、着陸。帰国。

 

お昼過ぎには、京都の自宅に帰宅。無事、洗濯もできる。

 

ポーランドでいただいたCDがたくさんあるので、しばらくはこれらを聞いて過ごすことになりそう。アリーナのCD「Sonatina for Alina」は、ポーランドの現代作曲家たちがアリーナのために作曲したサックス協奏曲集。

 

京都造形芸術大学に行き、山本高之個展「平成と縄文のあいだ」を鑑賞。縄文土器や昭和の玩具などが多数並ぶ中、平成生まれの大学生たちが語る映像が新鮮。

 

家に戻り、Leon Lewandowskiのポーランドの民俗音楽のCDが鳴り響く中、少しずつ日本の時間を思い出す。

 

メリークリスマス

ワルシャワ最後の朝

ワルシャワ最後の朝食を、ミルクバーに。

 

大慌てでチェックアウトして、空港へ。空港まで、アルベルトが見送りに来てくれる。フレデリックショパン音楽大学でのコンサートが、非常によかったね、とアルベルト。大使館でのアルベルトの小物打楽器と野村のケンハモの即興もよかった。どうして、レコーディングの時に、二人の小物とケンハモのデュオを録音しなかっただろう、とアルベルトが今更ながら残念そう。

 

ポーランドを出国。ヘルシンキ経由で、日本へ。飛行機の中でポーランドの余韻に浸る。

ワルシャワの即興音楽家たち

気がつくとポーランド滞在も最終日。せっかくの日曜日の午前中なので、ショパンの心臓があるという聖十字架教会へ行く。クリスマス前の日曜日だけあって、礼拝は超満員。オルガンの音色も少し聞いて後、旧市街を歩いて、ワルシャワ近代美術館でMiriam Cahn展を見る。

 

午後、Dizzy Dizzy Studioで、野村誠とのオープンセッションデイ。サックス、ユーフォニウム、ボーカル、キーボードなどの即興音楽家がやって来て、即興で音を出す。犬のグランツもやってきている。グラフィックデザイナーのオーラが写真をとっている。スタジオ内で演奏するのと、廊下で演奏するのと、2箇所に分かれて演奏。お互いに離れ離れで聞こえない状況を作り、それぞれを多重録音するのがアルベルトのアイディア。無関係に同時並行する音楽をミックスするのは、面白いアイディア。

 

夕方、アリーナが、ブロドゥノ彫刻公園に連れて行ってくれ、リクリット・ティラバーニャの彫刻をちらっと見て後、ザヘンタ国立美術館へ。アリーナに、この10日間の感謝を伝え、再会を願って別れを告げる。人々がクリスマス休暇に向かって、徐々に故郷に帰っていくワルシャワ。Radek Szlagaの個展と、ポーランド近現代の舞台美術の展覧会を堪能し、疲れ果てて、宿に戻り熟睡する。夜、音楽家のPatrykと会う予定が、体力が限界で、キャンセル。次回、彼とも一緒に色々やってみたい。

 

いよいよ明日は、飛行機で日本を目指す。ワルシャワのみんな、ありがとう。

初対面の旧友、芦川聡へのオマージュ

佐久間新さんの紹介で、民族音楽学者のマルサナに会う。25年ほど前に、佐久間さんがジャワに留学していた頃に、ジャワに留学していた人。佐久間さんのインドネシアネットワークは、世界に広がっている。マルサナは、インドネシアにおけるキリスト教音楽の研究などもしている。ガムラングループで、インドネシアの作曲家マイケル・アスモロの作品を「ワルシャワの秋現代音楽祭」で演奏したこともある。そして、イギリスのダラム大学に交換留学した際にガムランをやり、アメリカのウェスリアン大学で博士号を取得。そこでもガムランなどをする。故人となってしまった箏曲家の水谷隆子さんと同じ時期にウェスリアンにいたようで、水谷隆子の話になると涙ぐんでいた。佐久間さんの話、ガムランの話、いろいろ語り、あっという間に時間が過ぎた。初対面なのに懐かしい友人に会ったかのよう。

 

午後は、Dizzy Dizzy Studioでレコーディング。オーボエのセバスチャン、サックスのアリーナ、ドラムのアルベルト、そして、ぼくがピアノ。即興を録音してのち、アリーナの「Autumn Phase」、アルベルトの「Map of 10 Improvisations」を録音。その後、野村がオーボエパートを追加作曲して、「相撲聞序曲(ポーランド版+オーボエ)」をレコーディングし、「Casa Mozart, summer 2019」も録音。これで全部終わりと、アリーナ、セバスチャンは帰るが、ぼくはアルベルトと二人で即興を録音した。これは、ある意味、二人での芦川聡へのオマージュ。ピアノとドラムの非常にストイックなアンビエント即興。ぼくがこうしたスタイルで即興するのも、かなり珍しいと思うが、非常に心地よく演奏できた。こうした演奏ができて嬉しい。