野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

切っても切れないこと

本日は、インタビュー原稿の校正をしておりました。

そして、細々と切手をコレクションしておりますが、切手で楽譜をつくるということをしておりまして、「かずえつこと 即興のための50のエテュード」のno.14「切っても切れないこと」を作曲しました。

伊福部昭綴る」という本が、生誕100年記念で出ていて、これを読んでみようと思って入手。それで、予想していなかった内容があり、明清楽について書いているところがあることに驚愕する。確かに、東京音大民族音楽研究所所長をしていたこともあるはずで、そう考えると、うなづけなくもないのですが。あの西洋オーケストラのオーケストレーションの教科書「管弦楽法」の著者でありながら、明清楽の楽器紹介までしていたとは!そして、やはり、木琴が載っている。

北斎漫画に描かれている木琴に出会って以来、木琴のことは、ずっと気になっている。琴(古琴)、尺八、胡弓、木琴の四重奏。しかも、その木琴がインドネシアのガンバンに似ていると直感した。その後、中溝一恵さんの「描かれた木琴ー江戸時代の木琴をめぐる図像分析試論」に出会い、19世紀初頭に、木琴ブームがあったこと、多くの浮世絵師が木琴を描いたことを知る。そして、中溝論文は、インドネシアからの伝来に有力な説を唱えている。しかし、その一方で、明清楽から木琴が入ったという説もあって、明清楽における木琴についても、もっとリサーチしたいと思っていたまま、中途になっていたのでした。しかも、北斎の四重奏に描かれていた古琴(七絃琴)も明清楽の楽器であるならば、四重奏のうち二つが中国由来の楽器というのも、うなづける。ということで、明清楽ももっと勉強して、次なる創作に活かしたいと思わさせられるのでした。伊福部さんは、本当に勉強家です。

伊福部昭綴る―伊福部昭論文・随筆集

伊福部昭綴る―伊福部昭論文・随筆集