野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

創造都市ジョグジャでは、様々な化学反応が起こっている

昨日は、芸大大学院での「こども創造音楽祭」にて審査員をしました。単に見に行くつもりだったのですが。昨年10校参加だったのが、今年は26校参加。このフェスティバルは、楽器が買えない貧しい学校に、芸大生を派遣して、ペットボトルなどのゴミを活用して、音楽を作り発表するというもの。この芸大生達は、ジョハンさんの授業で、「あいのて」の映像を見たりして臨んでいるのです。そう言えば、昨年の7月には、バンドゥンで演奏会をした時、ゴミから楽器を作った子ども達とのセッションを、コンサートの冒頭にやりましたが、その映像はこちら。

本日、いよいよ帰国。午前中に、作曲家のメメットさん宅を訪ねて打ち合わせ。「水の音楽」、「石の音楽」などを行い、1,700人での大アンサンブルを行い、凧などを使った「空の音楽」を構想するメメットさんは、芸大の作曲の先生の中で、異色を放つ。

石の音楽は、こちら


1,700人の音楽はこちら

ダンサーとのコラボレーションは、こちら


午後、作曲家のギギー君が訪ねて来て、語り合う。芸大の作曲家に在籍中、メメットさんが、いかに自由を推奨していたか、教えてくれた。ジョグジャで唯一、鍵ハモを演奏する若干21歳の作曲家の彼は、彼の道を模索している。ギギー君の質問に、

「少なくとも一つ、何かチャレンジしていることがあれば、それはコンテンポラリーな意欲的な作品だし、何かのスタイルを模倣しているだけならば、それは、単なる習作。調性で作曲しても、無調で作曲しても、どんな書法で作曲しても、自分なりのチャレンジがあればいい」

と答えた。ギギー君の新作は、オーボエと室内アンサンブルのための「My Story」という曲。曲の最後(10分頃)に、子ども達が入場して歌い出す。ぼくのガムランと児童合唱のための「踊れ!ベートーヴェン」の影響もあるだろう。昨年「こども創造音楽祭」やバンドゥンのコンサートで子ども達と共演したことなどが、こんなところに反映されてくるのだなぁ。

My Story

鍵ハモソロ

ギギー君と語り合った後、鍵ハモでの即興セッションをし、ジョグジャを発つ。明日には日本です。