野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

作曲なんて、へっちゃらだー

大手町の日経ホールにて、「夏の合唱教育セミナー 2011」にて、講習会をやりました。まぁ、これは、音楽之友社さんのこの本のプロモーションもあって。

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インドネシア帰りで、ゴムの時間で生きてきたものとしては、タイトなスケジュールの中で、講演会をするのは、忙し過ぎて目眩がしそうでしたが、それでも、本の中に書いてあることだけではなく、その場で思いついたことを、急にその場でやることができたのは、ちょっと喜び。

「作曲の題材は、どこにだって転がっていますよ」
と言って、
「例えば、この皆さんの客席の椅子の座り方だって、楽譜と思って見れば、音楽になりますから」
と、ホール客席の一列を順番に、座っている、空席で
××○○×○×○
なんて、書いていって、会場全体でリズムアンサンブルしてみました。作曲っていうか、これ、座った人達の友達と隣同士に座りたいとか、他人とは一つ座席を空けよう、という関係の結果生まれたリズムだったりするのです。だから、このリズムは、音楽であって、社会学でもあったりするのです。

ま、そんなことをやった後に、メロディーを作るのと、歌を作るのと、二つやりまして、

田舎いいかいな
火事で泣かない
人事で泣かない
田舎いい感じ

という歌もできました。

終わった後のサイン会でも、ずっと行列が途切れなかったので、皆さん、喜んでいただけたようで、手応えあり。日本の学校の先生達も、随分、創作に関して関心度が高くなっているようです。なんでも、4月からの新学習指導要領で、「つくる活動」が大きく取り入れられているらしいので。

講座の中で強く強調したのは、一つの理想型に近づけるために作曲するのではなく、こうやって共同で作ることで、立ち上がってくるものを味わうこと。それをやらなければ、共同でやる意味もないし、こういうことを学校教育でやる意味も弱まってしまう。

それから、先生が一人でできないことは、音楽の得意な子どもがメロディーに伴奏をつけてもいいし、友人や保護者に音楽の得意な人がいて、そういう人に頼んでもいい。まず、クラスで作ってしまって、そこからのアレンジで困ったら、人の力を借りたら良い、ということも、強調しました。自分が困らないように、生徒の表現を限定させるよりも、困ったら、周りと助け合う。そういう関係を築いていくことが重要だと思うので。

でも、80分では、伝えられることが限られているので、もっと時間があったら、また、色々話したかったのですが、、、。また、来年でも、是非!受講者、主催者の皆さん、お疲れさまでした。