野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

インドネシアの創造的音楽教育

 マングナン小学校のダルー先生と打ち合わせ。来週、創造的な音楽教育実践家の池田邦太郎さんと斉藤明子さんが、ジョグジャに遊びに来られます。せっかくなので、創造的な音楽教育を実践するマングナン小学校を訪れることに。
 ダルー先生の授業では、ボディ・パーカッションや、机やペットボトルやドアなど、身の回りにあるもので音楽をします。こうした音楽教育は、ジョグジャ芸大で、ジョハンさんの授業で学んだものらしいです。では、こうした創造的な音楽教育はジョハンさんが始めたのでしょうか?質問してみると、サプト・ラハルジョという現代音楽の作曲家が始めたそうなのです。サプト・ラハルジョとは、どういう作曲家なのでしょう?調べてみる必要がありそうです。
 ダルー先生は、こうした創造的な音楽教育をカリキュラムとして形成はしていないが、学年によって、同じ内容の課題をやっても、達成する水準は違ってくる、と言っていました。1〜3年生は、リズム、強弱、テンポを変えて音楽を創作することを楽しむが、4、5年生になるとメロディーを楽しむこともできる。だから、クリンタン(スラウェシの木琴のような楽器)でメロディーを作ったりできるそうです。
 これまで、子どもたちの様子を観察して、色々な課題に対して、何が好きだったり、何が苦手だったり、を見つけているそうです。例えば、4分音符や8分音符などの音符は、1、2年生は楽しみません。ところが、3年生になると、算数で分数などの概念を学ぶので、それを苦にしなくなるとのこと。また、1、2年生は、音と静寂という二つの概念で音楽をしたりすることだったら、十分楽しめる、などなど。
 子どもたちが作曲をしていく時に、ダルー先生自身は作曲家ではないので、それをどう評価したり、どう発展させたらいいのか悩む部分がある、とのこと。そうした時に、マコトのような作曲家の力が借りたいと思う、とのことでした。
 子どもたちが楽しむこと、表現すること、探求すること、これに主眼を置いた音楽教育を実践しているマングナン小学校の実践と、池田さん、斉藤さんの出会いが演出できることは、非常に楽しみです。日本の音楽教育にも大きな影響を及ぼすだろうと思うのです。