野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

即興音楽ゲーム

たまたまミクシィで見て(なぜか芸術人類学のコミュ)、ワークショップに参加しました。だって、芸術人類学のコミュに「即興音楽ゲーム」のワークショップの書き込みをする人は絶対変だと思ったからです。

企画しているのが体奏家の新井英夫さんだったのと、荒川区生涯学習センターという場所だったので、どんな顔ぶれが集まるのか、行ってみたくなったのでした。

ワークショップの進行役は、山田衛子さん。以前、若尾裕さんのフェスティバルで即興で共演したことがありました。リコーダーでいい音出していた。

最初は、膝を叩いてやる「象」というゲーム。このゲームだけで40分もやってしまえたのは、今日の参加者(約20名)の集中がいい感じだったから実現したことだなぁ。

続いての、膝たたきトレモロを、目をつぶって、誰かが始めたらみんな一斉にやり、誰かがやめたら一斉にやめる、というのをやりました。目をつぶって合図がないのに、意外にきれいに、ふわっと始まり、ふわっと終わります。これで、トレモロ①、休み①、トレモロ②、休み②、トレモロ③という5つのセクションから成る曲をやるのですが、演奏の度に各セクションの長さを変えて、即興的に楽曲の構造を作っていきました。極端に長い休みとか、極端に長いセクションを作るのが、意外に難しいですね。全員のうち誰一人始めない、誰一人やめない、が必要条件だから。

その後、楽器で特殊奏法を開発して、それを擬音語で言う、というのがありました。楽器の音を、「ぷしゅー」とか「グゲグゲ」とか、言葉に翻訳するより、音をそのまま聴いて味わっていたいんだ、ぼくは、ということに気づいた。

その後、逆に擬音語を楽器でやる、というゲームで、何の擬音語をやっているか当てるクイズがありました。20人くらいが、同じ一つの擬音語を演奏しているのですが、全員で一斉にやっているのではなく、各自が違った楽器(や身の回りの物)でバラバラにずれながらやっていて、それはそれは信じられないくらい緻密な美しい音楽に聴こえたのです。これまた、擬音語を当てることに興味はなくなって、ぼくはただただこの音楽を味わっていたくて、しばらく聞き惚れてしまいました。

新聞紙で各自が色んな音を開発するのも、いい音いっぱい。この人たちに「あいのて」の番組づくり手伝ってもらえば、楽だったなぁ。

最後、「海底」、「砂漠」、「南極」、「大都会」、「ジャングル」の5つのお題から、各グループが一つを選び、即興演奏をして、どのお題かを当てるクイズで終わり。演奏している方はある一つの言葉を共有して即興しているので、音楽に特徴が明確に出ていいのですが、聴いている方は、5択なので、それ以上に想像力がいきにくいのが、もったいない気がしました。聴く方は何か分からないで当てると、演奏している方が予想もしないイメージが出て、面白いかもな、とも思いました。

今日やって、自分自身について気づいたことは、ぼくは、音楽から多様な言葉に拡がっていくのが、好きなんだ、ということ。

いやぁ、それにしても、こういうの参加するの、面白かった。来てる人も面白いし、途中で立ち上がる音楽も面白かったし、自分の興味を確認する場にもなったし、作曲のアイディアをいっぱい得られた。多分、来た人それぞれが、全然違う体験をして、違う発見をして帰って行ったのでしょうね。

ワークショップの進行役をすることは多いけど、参加することは滅多にないので、貴重な体験でした。また、時々、こんな会に参加したい。

ちなみに今日はやらなかったのですが、「病気の王様」というゲームがあるそうで、それが、ホエールトーン・オペラの第3幕で殿様の病気を様々な治療をするシーンにそっくり。

ぼくは参加できませんが、明日もあるそうです。