野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

こまいぬにほうきぼし

本日、大阪のフェスティバルゲートのremoでLIVE「こまいぬにほうきぼし」があった。今日と明日の2回公演で、ぼくはゲストとしてピアノを弾く。ちらしの文章を引用すると、

肢体不自由者とか何か問題のある人たちのスーパーグループほうきぼしブラザーズ
肢体に障害をもつ人たちを中心に
こえとことばを使って表現する舞台作品「こまいぬにほうきぼし」
身体詩、音楽、映像とかその全てが
こんにちは みなさんこんにちは こんにちは
こんにちはみなさん こんにちは

ゲネプロとかがあるわけでもなく、会場にはソファーがあったり、ゆる〜い空気が流れていて、上田カナちゃんに、「スローライフな感じ」と説明をされて、よく分からないぼくはリハーサル中にピアノ椅子の横にもう一個椅子を持ってきて、その上に座布団をのせて横になった。そしたら、すやすや眠ってしまい、出演者の矢野さんに「次はマコトさん」と指名されて起こされる始末。こんなゆるゆるは、なかなかない。ある意味「音の海」の対極。

本番中の進行は、総監督の上田さんが決めるのかと思いきや、矢野さんがその場の思いつきで、次は誰と決めていくことになった。

フラットなスペースでどこが舞台か分からない空間で、座布団や椅子の席に何気なく座ったお客さんを中途半端に取り囲んむ車椅子の出演者たち。だらだらとした自己紹介があったり、突然熱唱する歌があったりするし、とにかく、ゆるい進行で、のんびりする。

すごく時間をかけて、ようやく発せられる言葉が、とってもとってもズバッと風景を切り開くような瞬間があって、ドキっとする。

ぼくは本番中もしばらくは椅子の上で横になって寝ていたり、時々寝たままピアノを弾いたりしていた。途中からは起きて弾いていたけど。あとで報告があったことには、「野村さん知的障害者だと思われていましたよ。でも、ピアノはすごくうまいって、感心してるお客さんいました・・・」など。よく分からないけど、嬉しいです。

出演者一人一人の存在感がスゴイから、それぞれの人のことをもっと知りたくなる、と言っている人もいた。エイブルアート・オンステージの一つの可能性を感じさせる公演だった。

http://www.kanayo-net.com/cocoroom/