野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

京都コンテンポラリーダンス・ラボ

京都芸術センターに、京都コンテンポラリーダンス・ラボ12のガラパフォーマンスを見に行った。2500円で5演目が見られるお得プログラム。

1 坂本公成森裕子「きざはし」
2 納谷衣美×山下残「シビビビ」
3 黒子さなえ「白日夢」
4 砂連尾理+寺田みさこ「ユラフ」
5 セレノグラフィカ「それをすると」

坂本公成くんと森裕子さんの新作は、テーブルを使った作品で、裕子さんはテーブルの上、公成くんはテーブルの下で踊るダンスです。コンタクト・インプロをやってきた二人が、直接接触するのではなく、その間にテーブルの板を一枚挟んで行っている。続けてきたことが、今はここまで来たんだなぁ、という感じで、好感を持ってみました。テーブルの上に山ほどのナイフを置いているのも、いい音がしました。

残くんと納谷ちゃんの「シビビビ」は、数年前に名古屋で見たことがあるので、2回目です。基本的に同じ振付なのですが、あの時に比べると、今日の方が踊りの流れが悪かったように感じました。あの時の方がスムーズにいっていたことが、今日の方が、段取りを順にドッコイショとやっている感じがしました。微妙な違いで、随分と印象が違うんだな。

黒子さんの踊りは、身体が見事にコントロールされていて、表現力が豊かだなぁ、と感心させられましたが、作品としての印象は前の2作品に比べると薄かった。だから、とにかくいいダンサーだなぁ、と感じました。黒子さんはダンサー・役者に徹して別の人に演出される方が、もっと生きるような気がしました。根っからのダンサーだと思うのです。

残りの2作品は、ある作品からの抜粋らしいのです。面白いのですが、抜粋なので、今ひとつどういう作品なのかつかめなかった。抜粋なのですが、こうしたショウケース的なパフォーマンスでは、そのエッセンスをもっと凝縮したものを見たい、と思いました。そういう意味で、どちらも興味深いのですが、もっとテーマを絞りきった明確な何かを見たい、と思いました。こうして短い5作品を並べて上演することになった経緯など知らない一観客としては、小品として完結しているものを見たいと思ってしまいます。ある作品の一部を抜粋で上演するには、何か理由があるのでしょうが・・・。

とにかく、面白かったです。みんなが着実に、ちょっとずつ成長している姿を見るのは、うれしいものです。