野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

演劇とスティーヴ・ライヒ

福岡での「野村誠の左手の法則」の最終公演(7月17/18日@アジビホール)に向けて、新作「福岡市博物館REMIX」を、自宅にて練習/作曲/アレンジ中です。

この作品は、6月に福岡市博物館で行ったワークショップを素材にした映像+ピアノ生演奏から成る作品です。

組曲福岡市博物館REMIX」
1) Music
2) Arts Management
3) Dance
4) Drama
5) Workshop

映像の編集は既に完了しているので、本日は、映像に合わせて演奏する練習をしていました。1曲目の「Music」は、音楽のワークショップを素材にしていて、しかも、なかなか良い演奏の場面が多くなるので、苦労なくピアノで加わりよい感じ。また、3曲目の「Dance」も、ダンス+音楽のワークショップを素材にしているので、楽器の音がたくさんあるので、これも比較的スムーズにピアノで加われる。

問題は、2曲目のアートマネジメントと、4曲目の演劇。これらは、どちらも楽器の音ではなく、音素材としては、話し言葉になる。しかも、それらをループしているので、作業を始めると、「あ、これ、ライヒ」と思う。スティーヴ・ライヒの「ディファレント・トレインズ」などの喋り言葉のリズムに弦楽四重奏を加えた音楽と形態が似ているのだ。で、ライヒのことを意識し過ぎず、まずは自分をリセットして、素材そのものへの興味を最優先することに。

そうすると、とにかく、映像から、言葉のリズムを聞き取り、そのリズムを一つずつ書き取ったり覚えたりしながら、それに合わせてピアノを弾く練習をする。演劇の方は、一通りピアノパートの叩き台ができあがり、何度も通してみた。これから、本番に向けて、徐々に進化していく予定。

アーツマネジメントの方も、言葉のリズムを書き取る。演劇の曲もマネジメントの曲も言葉のループなので、この二つの曲の違いをどこで付けるのか、現在、いろいろ試行錯誤中です。演劇の方は、やはり抑揚が相当あるので、歌のように聞こえてくる。マネジメントの方が、ピッチやリズムの触れ幅は小さいので、こちらの方が、より微妙な緻密な作業が必要になるのかもしれません。

新居に初めてのお客さん、中村未来子さんが来てくれました。まだ、引っ越し直後ですが、ようやくピアノも到着し、落ち着いて来ました。左京区は、カフェも充実していて、見知らぬお客さんとの会話も弾みます。我が家の植物も、京都の家に来てから、すごく元気になりました。良い曲も生まれそうな環境です。