野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

神とゾンビ@小石小学校

北九州市での小学校での作曲ワークショップ。本日は、小石小学校4年1組。午前中は、1組の1〜5班の20人と作曲。C,D,E,F#,G,Aという音階が選ばれて、曲を作る。午後は、4年1組の6〜10班の21人と作曲。こちらは、少数意見を採用していったら、C,C#,D,E,A,A#という音階が選ばれた。子どもたちは「怪しい!」と連発して、怪しい曲を作ろうとして、怪しい曲ができた。最後、午前のグループが合流して、お互いの曲を聞かせ合ったところ、午前中の曲が「神」午後の曲が「ゾンビ」と呼ばれることになった。

今日のワークショップについて、どこにフォーカスするのか、という話を財団職員の方と話し合った。演奏ではなく、作曲にフォーカスしているので、自分たちが作った曲を、今日この場で全員が演奏できるようになる必要はない、というのが、ぼくの意見。作曲のために、鍵盤ハーモニカで音を出して確認するけど、その時にスムーズに弾ける子どもと、うまく弾けない子どもがいる。

ぼくのワークショップの中で、みんなが演奏できるようにする必要はないと、ぼくは考えている。ぼくがいなくなった後、練習すれば、できるようになるかもしれないし、できるようにならないけど、あの曲弾いて、と上手な子に頼んで弾いてもらうのだって、いいと思っている。

そもそも、作曲家の中には、自分の作った曲を自分で演奏できない人は多い。演奏することを楽しむ人もいる。でも、作曲することを楽しむ人もいて、さらには、演奏も作曲も嫌いだけど、聴くのが好きな人もいる。何も全員が演奏できるようになる必要はないと思う。楽器は全然できないけど、頻繁にコンサートに来て音楽を楽しんでくれるお客さんは、音楽の楽しみを知っている人だと思うし、そういう人が育つということは、重要だと思うのだ。

演奏できるのは、凄い能力だと思うけど、鑑賞できるのも、凄い能力で、創作できるのも、凄い能力だと思うのです。人それぞれの音楽との関わりがあったらいいと思うのです。そういうことを、話し合いの内容を踏まえて、今日は、子どもたちに強調して伝えることができました。