野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

梅田クラブ/東京藝大の授業/だじゃ研

音まち事務局メンバーとともに、梅田クラブを訪ねる。月1回、認知症ケアの活動として行われている集まりで、講座、体操、カラオケの3本立ての90分の会。千住だじゃれ音楽祭と連動して、何かできないか、ということで、本日見学。39回目とのこと。

 

午後は、東京藝術大学での石橋鼓太郎先生と熊倉純子先生の「文献購読演習」という授業。石橋鼓太郎さんの博士論文『制約を創造に変えるアートマネジメント ー〈野村誠千住だじゃれ音楽祭〉のエスノグラフィー』は、公開されていてpdfがダウンロードできるようになっている。

 

geidai.repo.nii.ac.jp

 

本日は、ぼくはゲストとして参加し、この論文を購読してきた学部生、院生の方々の質問に答えていく時間となった。質問がいっぱいあり、あっという間の90分だった。よくよく考えると、石橋論文の本文について語る時間はなかったなぁ。現時点で多くの人に理解され支持される音楽は、日々大量に生産されているし、ぼくは、そのような音楽をつくることに重点を置いていない。多くの人に支持されるものばかり作っていたら、世界は先細りしてしまう。30年前には全く理解されなかった鍵盤ハーモニカの演奏は、今では鍵盤ハーモニカのプロの奏者がたくさん出てきていて、30年前の活動はパイオニアだったことを、時代が証明してくれている。25年前に、老人ホームで高齢者と作曲したいと言い出した時に、アート業界から反応が皆無に近く、ごく一部の人のみが興味を示してくれたが、今ではそうした活動のパイオニアであったことが、時代が証明してくれている。だじゃれ音楽の活動も、いずれそのような評価になる時が来るが、時間がかかる。

 

その後、修士論文を提出したばかりの篠原美奈さんの発表も聴講。「あちらこちら」の活動も興味深いので、あちらこちらで展開してほしい。

 

夜は、だじゃ研(=だじゃれ音楽研究会)活動日。11月の表現街の振り返りと、次年度の話し合いと、セッション。対面で約10名、オンラインで約10名が参加。今日は一体、何回目の集まりだったのだろう?きっと100回は超えているのだろう。