野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

表現は日常にこだまする/インタビュー/マンドリン部の壮大な音楽

不知火美術館で12月15日に始まる『表現は日常にこだまする』に向けて、猛烈に創作中。1曲目《海上の太陽》はできあがっていて、2曲目の《春律》に着手。ラップのような曲なので、子どもや先生のラップのようにリズミカルに発言している場面をできるだけサンプリングしてコラージュしていく。言葉のリズムもいいけど、ベルなどの響きもいい。

 

www.museum-library-uki.jp

 

午後、不知火美術館で映像の松田さんによるインタビュー撮影。編集された記録映像も美術館で流れる予定。

 

夕方、美術館の里村さん、脇田さんと一緒に不知火中学校へ。マンドリン部の12名とのワークショップ。自己紹介として何を演奏しようかと思い、鍵盤ハーモニカとピアノのどちらがいいか、中学生に希望を聞いたところピアノを選んでくれたので、ピアノを弾くことに。思わず《DVがなくなる日のためのインテルメッツォ》を演奏してしまい、ドメスティック・バイオレンスのこととか、作曲の経緯のこととか熱く語ってしまう。ワークショップの時間が60分しかないのに、自己紹介に時間を使い過ぎてはいけないが、、、、。

 

その後、中学生たちに作品を選んでもらう。清原武則の《秋の山》が選ばれる。作品を選んだら、早速創作。マンドリントレモロを聞かせて欲しいとリクエストしたら、ドレミファソラシドと音階を聴かせてくれた。音階を上がったり下がったりするのが美しく、これに合わせてぼくがピアノでハーモニーをつけたら、もう山の稜線を上がり下がりしているような気分になる。パートごとに作品の中の山の稜線を模写し、それを楽譜として解読してもらう。これを重ね合わせると、グレツキアルヴォ・ペルトの作品のような壮大なスケールの音楽が響いてくる。うわー、《秋の山》できちゃった。

 

いつものように、(地域の様々な出会いを創出する)推進委員の方々が見学に来られていて、楽しんで下さり心強い。こういう方々がいることが地域の活性化に本当につながると思う。不知火図書館の館長も見学に来られた。『表現は日常にこだまする』というのが来週から始まる展覧会のタイトルだが、「こだま」するためには、発信者がいるだけではなく、それを受け取って跳ね返す相手が必要だ。美術館の里村さんやアーティストの野村がいくら騒ごうと動こうと、この推進委員の方々のような打てば響く存在があってこそ、日常にこだまする、のだなぁ、と思う。

 

帰宅後は、2曲目の《春律》の作曲/編集作業のつづき。明日は3曲目の《黄昏の詩》に着手しよう。