野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ラップの1年生/黄昏の2年生/吹奏楽の模写楽譜

不知火美術館「とびだすプロジェクト」で、本日の午前中は、豊野小学校でワークショップ+レコーディング。朝8時10分に学校入り。美術館の里村さんとトーマスさんが同行。

 

1年生が選んだ作品は、磯谷民子の《春律》という日本画だった。1年生が日本画の色合いを好んだのも印象深い出来事。担任の平松先生とのやりとりは、ラップのようで、出来上がった歌もそんな感じになった。間奏で鳴らすベルや楽器が、絵の中の花の咲く光景にぴったりだ。画面に描かれていない「とんぼ」、「畑」などが歌詞に加わったので、画面の外まで子どもたちの世界は広がっている。

 

2年生は、洋画を選び、坂田黎一の《黄昏の詩》。担任の吉田先生が子ども一人ひとりに発言させることを心がけていて、発言の後に、「どうですか?」と発言者が聞くと、クラスメイトが「いいと思います」と答える。先生が「いい」と言うのではなく、級友たちが「いい」という形式が印象的だった。給食の時間を勘違いしていて、最後、時間ギリギリで慌てて録音して終わった。

 

美術館のカフェで音源の編集作業などをして後、3時半に豊福小へ。豊福小学校の吹奏楽部とのワークショップは4時からの予定だったが、全校集会の関係で4時15分からに変更。4〜6年生で30人ほど。8点の作品の中から子どもたちが選んだ作品は矢田道也《里は今》で、ポップではなく暗い色が多い抽象度の高い絵を子どもが選んだことに本当に驚く。絵を見ながら、それぞれの思う音を鳴らす不協和なトーンクラスターは、この作品にぴったりだった。クイック模写をしてもらい、その模写を楽譜としてパートごとに音楽をつくってもらった。とても素敵な響きだ。顧問の岩崎先生の暖かい雰囲気が、場を和ませていた。

 

夕方18時に、豊野小学校に里村さんと立ち寄り、子どもたちが書いてくれた歌詞などを受け取る。素晴らしい。

 

19時に美術館のアトリエで、里村さんと、これまで子どもたちが書いてくれた歌詞、タイトル、図形楽譜などを並べて、展示のプランを練る。

 

帰宅後は、少し編集作業を進める。