野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

鈴木潤との東アジア鍵盤同盟/片岡祐介のスピーカー

鈴木潤さんとalbum制作中。ぼくがピアノで、潤さんがエレピのデュオ。レコーディングは既に完了していて、本日はミックス作業。潤さんのお宅にて。

 

どの楽曲をアルバムに入れるかの選曲。音量のバランスや音質を整えるミックス作業。複数のスピーカーで聞いて確認していく。普通、 PANをふると言って、楽器によって少し右側で鳴っているようにしたり、左にしたり、楽器の音像の位置を立体的にする。ところが、二人の音を敢えて真ん中で同じ位置にしてみた方が、二人の音が溶け合ったような感じになって、セオリーに反して両方ど真ん中にする。

 

レゲエのキーボードの潤さんなので、自然な音のスピーカーだけでなく、低音が箱鳴りするスピーカーもある。同じ曲を聴き比べた時に、箱鳴りするスピーカーになった途端に、曲の魅力が半減するタイプの曲があって、びっくりした。二人の音が重なり合って複雑な音響を作っている曲は、低音が鳴るスピーカーになると、驚くほど音楽がつまらなく聞こえるのだ。100~200Hzあたりの音域をイコライザーでカットすると、ようやく曲がイキイキしてくる。片岡祐介さんが、箱鳴りするスピーカーを嫌い、段ボール箱に入ったスピーカーを作って販売しているが、その意図が体感できる出来事だった。箱鳴りするスピーカーは特定の音楽ジャンルの音楽しか成立しない響きを出してしまうのだ。

 

「純セレブスピーカー」という名称を聞くと、悪ふざけだと勘違いされる方もいるかもしれないが、片岡氏のアプローチには一理ある。特定の音楽ジャンルでしか気持ちよくならない色付けをしてしまう高級スピーカーは、それ以外のジャンルの音楽を気づかないうちに排除してしまう。どんな音楽様式も選ばないスピーカー、変な色付けをしないスピーカー。

 

jun-serebu.net

 

片岡祐介のスピーカーを宣伝してしまったが、今日は彼のスピーカー理念に大きく賛同する経験の1日。その結果、潤さんとのアルバム、ジャンル不明の音楽だけど、どこか民謡のようでもあり、ポップでもあり、ぼくたちの30年間のエッセンスが詰まった曲が満載のものになりそう。アルバムタイトル案を考える。仮タイトルは、「東アジア鍵盤同盟」。