野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

愛知大学で門限ズ/あっちこっちde門前ズ!?キックオフ

愛知大学にて、門限ズの授業。今年度2回目。演劇、ダンス、音楽、雰囲気の4チームに分かれて30分間のクリエーション。クリエーションの裏テーマは、3月5日に豊川稲荷門前町で開催する『あっちこっちde門前ズ!?』に向けて。

 

ぼくは音楽チームになった4人の学生と愛知大学のキャンパスを楽器を鳴らしながら散歩した。芝生の上を演奏しながら歩くのもいい。愛知大学創立の頃の由緒ありそうな鐘がある。この鐘を鳴らすと留年するという噂があるとのこと。故障中の時計があり、何年も故障しているらしい。なので、故障した時計を修理してほしい歌を作った。教室で楽器を持ってだったら、学生たちはこんなにお喋りしなかったかもしれないが、散歩しながら楽器を鳴らしていると、色々なお喋りをしてくれる。こうしたお喋りの中に創作のヒントはいっぱいある。あとで発表の時に、みんなでお散歩したら、雰囲気が全然違った。

 

前回、音楽チームにいた3人は、今回は演劇チーム。前回一緒に過ごしたメンバーがイキイキと演劇をしているのを見れたのも嬉しい。演劇屋台で、演劇を売るお店という想定が面白い。

 

ダンスチームは、豊川稲荷真言マントラ)をダンス化していた。このダンスに合わせて、打楽器でリズムをつけてみた。真言のリズムは、ダンスにも音楽にも変容していく。

 

雰囲気チームは、化ける呪文(オリジナルの真言)を使って参加者を何かに化けさせていた。この呪文にピアノをつけ、ダンスをつけ、演劇も加えた3時間の授業の終わり間際に、もう一つのドラマが起こった。怒った男性が叫びながら教室に入ってきたのだ。一体何事かと思ったが、上の階の教室で授業をしていた先生が、楽器の音が授業の邪魔になったと苦情を言いに来たのだ。コロナ前は、窓を閉めて授業を行っていたのに、コロナ対策で窓を開けているため、音がうるさかったようだ。通常、小学校などの音楽室は校舎の隅にある。総合大学で音楽棟や美術棟は、他の講義室とは別棟であることが多い。しかし、愛知大学のメディア芸術専攻は文学部なので、スタジオは他の講義のある部屋と同じ建物にある。怒っていた教授は、こちらが授業であるということに気づいていなかったようで、途中で授業であることに気づき、逆に恐縮されていた。学生たちに、アートが町に出て行くということは、このようなクレームに出会うことでもあり、コーディネーターの仕事は板挟みのアートでもある、ということを共有。授業に支障のあった2階の先生には、非常に申し訳なく、そして、怒鳴り込んできていただいたお陰で学生たちにとっても学びの多い授業にもなった。

 

夜は、『あっちこっちde門前ズ!?』のキックオフミーティング。豊川稲荷門前町の方々、実行委員会こりんぐの方々、楽器店、吹奏楽団、よさこい、商店街など地元の方々も集まり、濃厚なブレインストーミングの時間。アイディアが色々出てきている。