野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

うろ覚えベートーヴェン

《踊れ!ベートーヴェン》の公演が終わり、京都から帰る前に、ベートーヴェン研究で、作家のいしいしんじさん宅を訪ねた。コロナになって、たまたま名曲喫茶に入ったら斬新な音楽がかかっていて、それがベートーヴェンピアノソナタ32番で、それ以来、ベートーヴェンソナタを聴きまくっていて、ついにはピアノを習い始めて、生きているうちに、32番を弾くことを目指しているとのこと。

 

しんじさんから、ベートーヴェンについて、色々お話を聞き、ベートーヴェンの人と人を結びつける力についての話を聞く。そうしたお話を聞いた後、何かベートーヴェンを弾きたくなったが、いしい家にはベートーヴェンピアノソナタの譜面はなく、ぼくはピアノでうろ覚えのベートーヴェンの断片を即興で紡ぎながら弾いた。即興の名手だったベートーヴェンだし、シンプルで短いモティーフを展開するのが得意なベートーヴェンなので、うろ覚えで即興するのに向いていて、いつまでもベートーヴェンが巡っていく面白い体験だった。

 

その前には、少年野球の話もしたのだった。その後は、しんじさん、園子さんと、塔本シスコの話をして、ぼくや里村さんが気がついたら塔本シスコに巻き込まれていることを、いしいさんは「誠さんは、もう絵の中に入っちゃった」と表現される。ああ、ぼくはシスコの絵の中に入っちゃったから、熊本に住むことになったし、十五夜綱引の研究することになるし、ワクチンを接種に行った病院までシスコの絵の中になっているし、、、、確かにと納得。

 

シスコをめぐる楽しい会話の余韻で、即興でピアノを弾いてから、熊本のシスコの絵の中に帰る。いしいさんは、ピアノのお稽古に出かけ、ぼくはベートーヴェンピアノソナタの楽譜を注文した。