野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

相撲甚句研究/踊れ!ベートーヴェン再演に向けて

相撲甚句について、整理しようと、色々資料を引っ張り出している。2014年に大相撲の相撲甚句を一ノ矢さんに教わり、2018年に竹野相撲甚句(兵庫)に出会い、2021年に日撫神社角力踊り(滋賀)に出会い、2022年に庄内町相撲甚句踊り、谷頭相撲甚句踊り(宮崎)と出会った。日本各地で相撲甚句が伝わっているが、それぞれの特色があるので、自分なりに整理して文章化したり、体に染み込ませて身体化したりしたい。

 

相撲甚句の発祥を整理すると、名古屋甚句、都々逸を参照することになり、都々逸は名古屋で流行していた名古屋節を元に生まれたと言う。ぼくは名古屋出身なので、相撲甚句をやっているうちに、里帰りした気分になり不思議。

 

9月11日に、《踊れ!ベートーヴェン》を京都芸術センターで再演するので、その準備中。衣装を何にするのか、楽器を何を使うのか、どんな精神状態でこの曲の演奏に臨むのか、色々考える材料として、昔の録音を聴いたり、楽譜を読んだり。1996年8月4日、神戸XEBECホールでの上演ノート(text:中川真)を見つけた。

 

野村誠 Nomura Makoto:踊れ!ベートーヴェン(1996)

 

まったく不可解なこのタイトルは、やっぱり野村誠らしい。ぼくは彼の才能を買っているけれど、やっぱり練習が始まるまでは不安だった。何しろ、最近ではピアニカで「サザエさん」の路上演奏ばかりしているというし、ぼくが推薦文を書いたヨーク大学(イギリス)への留学では、音楽教育界では有名な、あのペインター教授をあきれさせたというニュースが伝わってきたのだから。でも、グリコキャラメルのTシャツで現れた初練習(確か2月だった)は、ガムランのメンバーをじゅうぶん納得させるものがあった。自信をもって何かいわれると、妙にうなずいてしまうものだ。彼のペースにはまって半年、ようやく曲の全貌が見えてきた。それからTASKE。あなたは「歌」の間口を広げてくれました。感謝します。それから、大人どもの大騒ぎにつきあってくれた貝塚少年少女合唱団(なぜか少年は1人)のみなさん、ありがとう‥‥。