野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

鶴見幸代の世界

神戸文化ホールに、鶴見幸代《竹野相撲甚句ファンファーレゲエの大冒険》のリハーサルを聴きに行く。JACSHA(日本相撲聞芸術作曲家協議会)の初めてのワークショップが2014年で、その時に相撲甚句を題材にしたワークショップを開催し、大相撲の相撲甚句に出会った。ところが、それから4年後の2018年、JACSHAで城崎国際アートセンターにレジデンスしている時に、竹野相撲甚句に出会った。その時にプロデューサーの柿塚拓真さんが訪ねてくれた。それから4年経った2022年、柿塚さんの企画で、オーケストラと混声合唱と打楽器独奏による鶴見の新作が上演されることになった。8年前にドリーム企画書を書いて様々な妄想をしてゲラゲラ笑っていたが、8年経って、いろいろ実ってきて嬉しい。

 

鶴見作品は明日が本番だが、ぼくも明日が本番なので、リハーサルだけでも聴きたいと訪ねた。鑑賞だけのつもりだったのに、鶴見さんと二人で舞台にあがってオーケストラと合唱団の方々に紹介された上で、竹野相撲甚句の実演とステップ実演と若干の四股体験の鶴見さん補佐役を急遽務める。指揮者の石﨑真弥奈さん、打楽器ソロの安永早絵子さん、神戸市混成合唱団、神戸市室内管弦楽団による演奏。鶴見ワールド全開で楽しかった。冒頭のオケだけでポリフォニックにメロディーが重なり合うところは、小さな編成の少ない楽器の種類を最大限に活用して色彩が七色に変化し、大変美しい。今回は合唱であり、甚句であるので、ほぼ全編にわたって合唱が入っていたので、純粋器楽でオケの色彩を味わう場面は、そんなに多くなかったので、今度は鶴見のオーケストラ曲も聴いてみたいなぁ(誰か委嘱しないかな)。それにしても、ぼくが竹野相撲甚句で新曲を書くとしても、全然違う響きと色彩の曲を書くだろう。鶴見の曲は鶴見らしい和声で、ぼくとは全く違う個性の作曲家。一緒に活動しているとお互い作曲家だから役割かぶってしまうんじゃないか、と思いそうにもなるけど、お互い全然違うんだよ。作曲家同士がJACSHAで一緒に活動する意味を改めて強く感じた。明日の成功、間違いなしだけど、成功を祈ってるよ!そして、もっともっとJACSHAで活動続けていきたいって、強く思った(そして、鶴見にこういう機会を作ってくれた柿塚さんにも感謝。柿塚さんとも、またいろいろ面白い仕事を作っていきたい)。

 

リハーサル後、木津川市寺子屋やぎやに移動。中川真さんと二人で宿泊。みかのはらガムランプロジェクトの炭本夫妻のホスピタリティに感服し、明日の本番に向けてワクワクする。