野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

音曲行脚、シルクロード西へ東へ

山本亜美さんの委嘱で、25絃箏のための《編む 継ぐ む》を作曲中。そもそもは、編曲の依頼だった。戸島美喜夫作曲の《木のみちしるべ》というマリンバの曲があり、亜美さんは戸島先生より楽譜をいただき、自由に編曲してやっていい、と言われていたという。2年前に戸島先生が亡くなられ、ぼくに編曲して欲しい、と亜美さんから相談を受けた。ところが、しばらくして、亜美さんから、「やっぱり、野村さんに作曲して欲しい」と依頼が変わった。戸島先生の作品を踏まえて、ぼくの音楽を書いて欲しい、ということ。

 

さらに、戸島先生が死ぬ間際まで聞いていたという音源がCD4枚分送られてきた。

 

『音曲行脚1 シルクロード西へ その1』

『音曲行脚2 シルクロード西へ その2』

『音曲行脚3 シルクロード東へ その3』

『音曲行脚4 シルクロード東へ その4』 

民族音楽のオムニバスCDだ。戸島先生の楽譜とCDを手がかりに作曲をしてきた。それは、伝統音楽を「継ぐ」ことであり、戸島先生の遺志を「継ぐ」ことであり、全く異なる複数の音楽を「編む」ことでもある。作曲をしているのか編集をしているのか。

 

で、昨日、ようやく、自分は創作をしているのであって、全く異なる音楽をぼくの感性で「継なぐ」こと、出会いを創出すること。それが作曲なんだなぁ、と思えるようになって、色々な断片がつながり始めた。そして、戸島先生のCDにある音源ではなく、最近自分の現場で体験している音楽(ベトナムのゴング、竹野相撲甚句、肥後琵琶、たたら節)をつないでいくのが、やっぱり必然な気がする。

 

そうして、今日は一日中作曲をしていた。今日、完成は無理だったけど、作曲作業が楽しくなってきた。