野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

たいようオルガン再再演

新潟りゅーとぴあにて、《たいようオルガン》の再再演。3回目で、回を追うごとにさらに熟成されていく演奏。素晴らしすぎた。

 

ぼくの楽譜が届いた時に、譜面を見て、「そうそう、私はこういうのがやりたいんだ」と思ったというソプラノ歌手の小林沙羅さん。とんでもなく美しい声のソプラノに痺れる上に、演技力も抜群で、本番になるとスイッチが入って、リハーサルとは全く違う演奏になる。本番で初めて出した声があるとのことで、シーンごとに発声の仕方も変えてくれる。オルガンの音色や曲調が変わると、自然にいろいろ変えたくなるんだと思うけど、変えたくなっても声を七色に変化させるのは至難の技だ。観客の子どもたちが手を挙げるのに躊躇していると思ったら、「乗りたい人、手を挙げて」の歌詞を、少し間をとって歌うことで、自然にあげたくなる、なんてことも、自在にやってのける。さすがだ。

 

りゅーとぴあ専属オルガン奏者の石丸由佳さんは、大学院の修士論文で、絵本でオルガンのコンサートをするビジョンを提示された方だ。そして、石丸さんにとって、オルガンとは宗教音楽の楽器としてではなく、様々な音色のパイプが集まった一人吹奏楽だと言う。だから、彼女の演奏は独奏なのに、合奏になる。色々な登場人物がいて、笛がかわいく吹いたり、チューバが重重しく吹いたり、人の声があったり、トランペットが華やかに吹いたり、クラリネットが軽やかに吹いたり、、、、。そんな吹奏楽を両手両足で指揮するコンダクターのような演奏。フーガになるところも、音頭のようなところも、砂漠の行進も、、、それぞれがニュアンスたっぷりに演奏される。ゴージャスだったなぁ。

 

本当に、荒井良二さんの絵本に作曲した作品を、この二人に演奏してもらえることはこの上ない幸せ。次回は未定だが、日本全国のオルガンのあるホールで、実現させたい。

 

感動の再再演の後、新潟〜東京、東京〜京都、京都〜福知山と移動して、福知山まで車で迎えに来ていただき、1時間半のドライブの後、深夜に城崎国際アートセンターに到着。