野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

20年前と100年前を思って作曲する今

今日は、自宅で作曲。滋賀県立美術館での塔本シスコ展のために。自分のコンサートでもなく、自分の展覧会でもなく、シスコさんの個展なので、その中に野村誠という余所者が入っていっていいのだろうか?と躊躇いがあった。でも、熊本市現代美術館で塔本シスコ展を見た時に、静寂の中で見るのもいいけど、音楽ありだと雰囲気変わるだろうな、と感じた。だから、今、作っている。

 

で、シスコさんの絵をいくら眺めても、資料を色々読んでも、ぼくはシスコさんになれるわけではない。だから、シスコ作品から受け取った野村誠の世界を音楽にする。余所者だけど、自分なりの音楽を作ろう。

 

約20年前、シスコさんが88歳の2001年に描かれた《ウマイレガワ》という絵は、シスコさんの子ども時代の思い出なので、おそらく当時80年前を思い出して描いたもので、今から見ると100年ほど前の光景。だから、シスコさんの絵画に作曲すると、100年前と20年前と現在という3つの時間が重なり合う。ぼくは、現在にいて、20年前と100年前のことを思っているが、20年前にシスコさんは100年前のことを思っていた。

 

だいぶ方針が決まり、曲が姿を現してきた。