野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

山本亜美さんの25絃/カウエルの理論書

箏曲家の山本亜美さんを訪ねる。25絃箏で新曲委嘱初演などをしておられ、一昨年は野村誠にも新曲委嘱をした。昨年、文化庁の芸術祭の新人賞を受賞。

 

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9月9日に行われる山本亜美リサイタルのために、新曲の委嘱を受けたので、楽器の研究や作曲のプランの相談をしに、亜美さんを訪ねた。25絃箏は、野坂惠子先生が考案した楽器で、通常の13本の箏を倍近く糸を増やしている。1991年に誕生したので、まだ30年ほどの歴史。新しい楽器なので、この楽器のための作品は決して多くない。実際に触ってみて、通常の箏よりも弦が多いため、他の弦と共鳴して響き合うのが印象的。熊本に戻ったら、さっそく作曲に着手しよう。

 

Henry Cowellの理論書『New Musical Resources』を読了。カウエルが20歳ごろに書いた論考で、リズムのこと、音程のこと、形式のことなど、全てを一貫して倍音列の話から類推して語る明解な論。この本の中で、複雑な比率のリズムを実現するのに自動ピアノが有効と書かれていて、これを読んだコンロン・ナンカロウが影響を受けて、自動ピアノのための作品を数多く書いた。先駆的な本。

 

https://www.amazon.co.jp/New-Musical-Resources-Henry-Cowell/dp/0521496519