野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

放浪しコラボする数学者/だじゃれ音楽と環境問題

放浪する数学者ポール・エルデシュ(1913-1996)の話を知る。なんでも、突然、数学者を訪ねてきて、「マイ・ブレーン・イズ・オープン!」と言って、コラボする。生涯で500人以上の数学者と共著で1500本ほどの論文を書いたそうだ。随分と社交的というか、おしかけコラボレーションの旅する数学者。ぼくは、エルデシュが研究した数学そのものよりも、彼の生き方に興味を持った。多くの人とコラボすることは楽しいが、同時に、大変でもある。相手の価値観を受け入れる必要がある。どんな人物だったんだろう?気になる。

 

先月、地球温暖化に対して二酸化炭素削減を訴える歌のレコーディングを、だじゃ研(=だじゃれ音楽研究会)で行った。これに手応えを感じた。というのも、環境問題に取り組むと、「意識高い系の人たちがやっているんでしょ」的な反発がしばしば起こる。「意識高い系」と「それ以外」という線引きの方が強調されていってしまう。先日、だじゃ研でレコーディングした時に、「意識高い系」なニオイもしないし、ナチュラル系でもないし、スピリチュアル系でもない。なんとも形容し難い。カテゴライズ不能なまま、陽気に楽しみながら環境問題に大真面目に取り組めるんじゃないか、と思った。「だじゃれ」って、シリアスに問題を掲げようにも、それをだじゃれでパラフレーズするので、客観化されたり相対化されたりしやすい。特定の宗教、政治団体に属することなく、しかし、色々な宗教や思想に対しては開かれている感じで、面白くやれるといいんじゃないかな。