野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

稚児桜とワークショップの出会い/馬頭琴奏者と/ふれぶん組曲の次

今日は、一日中、菊武祥庭作曲の《稚児桜》の箏三重奏の手事(歌と歌の間の長い間奏)の楽譜を、五線譜に直す作業をやっていて、ようやく夕方に書き上げる。で、ここまでが準備で、ここからが作曲。この譜面とワークショップで起こった様々な出来事で化学反応が起こらないかと、とにかく《稚児桜》とワークショップを様々に組み合わせる実験。何時間も試行錯誤していくが、なかなか簡単には糸口が見つからない。そういう時は、《稚児桜》を分析する解像度をあげていくのが良いと思うので、ただただ《稚児桜》の音源を100回くらい聞いて、局所的に丁寧に分析して、細やかなひらめきを探す。そうやっているうちに、新曲の手がかりが少しずつ見つかってきて、一度、脳内で新曲が組み立てられていく。明日には譜面を書き始められそうだ。2月26日の『世界のしょうない音楽祭』で世界初演する予定の新曲は、来週には出来上がっている予定。今週が正念場。

 

ちなみに《稚児桜》は菊武厚詞先生の音源と楽譜を参照して作業しているが、同じ曲でも違ったアレンジが色々あるようだ。例えば、こちらの動画だと、笛や鼓も入っていて、聴いた印象はかなり違うが、手事の部分(7:50あたりから12:33あたりまで)を譜面と照らして聴いてみると、確かに同じ曲(ところどころ違う部分はあるが)だった。そして、ぼくがワークショップ参加者が手拍子や太鼓で入ろうと思っていたところに、鼓がほぼ同じように入っていて、面白かったし、10年前に北斎のプロジェクトをした時に、「巣ごもり地」というツルテン、ツルテンと続くオスティナートを入れる案が出て、《序曲 あほくさい》という曲に使われているが、こちらのバージョンでは、その巣ごもり地が使われている。

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作曲の合間に、2件の打ち合わせ。一つ目が、きたまり新作ダンス公演《棲家》に向けての打ち合わせ。

 

ki6dance.jimdofree.com

 

この公演の音楽のピアノはぼくが担当し、馬頭琴を嵯峨治彦さんが担当する。これは、太田省吾の戯曲にチェロで《アリオーソ》が流れると書いてあり、チェロと書いてあったらチェリストを探しそうなのだが、きたまりさんの面白いのは、馬頭琴に行きつくところである。嵯峨さんと面識がないので、本日リモートで初顔合わせ。実際に音を出したわけではないが、お話をさせていただき、共演が楽しみ。

sagaharuhiko.com

 

もう一つは、春日市のふれあい文化センターの樋口さんと打ち合わせ。3年前の夏と昨年の夏にワークショップをさせていただいた。その時のドキュメントがYouTubeで公開されている。次なるプロジェクトの可能性を探るのもワクワクする。

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