野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ふれぶん組曲/温暖化防止の昆布の音楽

春日市ふれあい文化センターでのワークショップ。本日は、小学校4年生以上のワークショップで、小学生、中学生、大人20代から70代までの方々が集まった。そもそも、ふれあい文化センターとは、どういう場所なのか聞いてみた。次のような意見が出た。

 

合唱コンクールの本番をここでする

図書館もある、本は借りたことがない

ロビーでパンを売っている

集団で練習

スプリングホールで発表

マンドリン定期演奏会もある

映画を見ました

イベントのお便りが届く

迷路のようで迷います

 

 練習したり、発表したり、映画もあれば、コンサートもあり、パンも売ってて、迷路のように色んな部屋やホールや会議室などがある場所だ。これだけ具体的な言葉が出たので、これを歌詞にした歌をつくるのか、それとも器楽曲を作るのか。でも、よく考えたら、コロナで大声を出さないようにとの話があって、しかも、様々な楽器を持って集まっていただいているので、楽器にすることに。

 

まずは、「ロビーでパンを売っている」を作曲。「ロビーでパンを売っている」の言葉のリズムで手拍子。それを楽器でやってみる。楽器ごとにグループ分けして、笛(リコーダー、フルート、アンデス)、ケンハモ、打楽器(トーンチャイム、スティック)、弦(マンドラ)、ブラス(ホルン、べノーバ)として、1回目は全員、2回目はブラス、3回目は弦+打、4回目は笛+ケンハモ、5回目は手拍子、6回目は全員でやった。同じリズムでも、楽器が変わるだけで音楽の色彩が変化していくのがいい。

 

続いて、「迷路のようで迷います」を作曲。これは、はっきりと拍がわかりやすくするのではなく、迷路に迷う感じにしたい、とのことだったので、相撲の一番太鼓のリズムのミニレクチャーをして、そのリズムをレガート(滑らかに)演奏することにした。迷う感じ。

 

続いて、「スプリングホールで発表」を作曲。ベートーヴェンの第9を歌ったエピソードを聞いたので、第9は、「ミミファソソファミレドドレミミーレレ」となっていて、ドレミファソの間で、遠くの音にジャンプすることがなく隣の音にしか行かない(順次進行)と説明して、ドレミファソの中で、同じか隣に移動するメロディーを作ってもらう。一人一つずつ言ってもらうと、ソファミミレレドドレミレというメロディーができて、これを雄大に演奏し、そこにピアノで和音をつけて華やかに演奏した。

 

「映画を見ました」は、動物が追いかけっこしているシーンを連想し、演奏。

 

「図書館もある、本は借りたことがない」は、図書館は公民館やホールに比べて圧倒的に静かである、とのことで、静かな音でやろう、ということになった。マンドラの音が静かだ、という意見があり、トレモロで音階を弾いているマンドラさんを図書館に見立てて、一人一人が立ち上がって、一歩、マンドラさんに近づいて、本の貸し借りを表現する短い演奏をする曲になった。パフォーマンス性もあって、いろいろな楽器の音色の違いも味わえる渋い曲。

 

「集団で練習」は、シンコペーションのリズムは、なんども練習したりするそうなのと、1234と号令に合わせて練習することが多いそうなので、1234をランダムに言ってもらい、31424312324となり、これを16分音符の1〜4個分の音価に置き換えたリズムを作って、練習した。

 

最後に「マンドリン定期演奏会もある」は、長い音が伸ばせる楽器も、みんなトレモロで演奏して、マンドリンオーケストラの気分を味わった。

 

以上7曲を作ったので、最後に、これを次々に演奏して撮影。九大のチームが撮影してくれた。

 

昨日とは、また違うテイストで、でも、やはり音楽の喜びを十分に味わえる充実の2時間だった。7曲が全然違う音楽になり、手応え十分の二日間だった。弥生の里音楽祭へのメッセージを撮影してもらったのと、日田(大分)のホール職員の黒田さんとの短時間の打ち合わせを経て、自宅に戻る。

 

夜は、イギリスのAuberginesと日本のだじゃ研の共同オンラインワークショップの最終回。AuberginesのHilaryの提案で洗濯機の即興をやったり、だじゃ研安田さんの提案で地球温暖化への即興をやった。1月から半年間に渡って、日英でzoomで交流して、今までにあり得なかった国際交流ができて面白かった。ワクチンなどが進み、今後はイギリスでは対面でのワークショップに戻っていくそうだが、いずれ日英でこういうプロジェクトをやってみたい、とヒューやエマとも語り合う。それにしても、このシリーズは、事務局の西川さんがチャットに通訳を書きまくってくれたおかげで、日本のメンバーにとって参加がしやすくなった。西川さんの大活躍にも感謝。ヒューとは、次は、近江鉄道での「ガチャ・コン音楽祭」の車内放送歌合戦企画で関わってもらう。楽しみだ。