野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

自分も生まれる旅

『お産を楽しむ本』の著者の河野有砂さんと、『自分も生まれる旅とノムラノピアノ』というイベントを2度開催し、第3弾を計画しているうちに第3弾はイベントではなく、本を作ろうという話になった。そう言っているうちに、コロナになったが、コロナになる前から、本を作ろうと計画していた。お産に関する有砂さんの言葉や写真を手掛かりにしながら、ぼくはピアノ曲の楽譜を書いていくことになる。今日から、本格的にこれに取り組み始めた。

 

あまり考えすぎずに、ピアノに向かい、そこから「生まれてくる」音を、次々に譜面に書いていく、ということをした。曲を書こうというのではなく、ただ、その時に誕生した音を書いていく。生まれたままの姿で、とりあえず書いていく。そんな風に6ページ書いた。明日以降もしばらく続けていこうと思う。

 

書いていて思ったのは、生まれるということと背中合わせにある死ぬこと。昨年、《Chant for Sleep》というコロナでの死者へのレクイエムを書いたこと、《踏歌、世界をしずめる、戸島美喜夫へ》という作曲家戸島美喜夫さんへの追悼の曲を書いたことと、自分も生まれる旅の作曲は、繋がっている。

 

今朝も「四股1000」で四股を千回踏んだのだが、その際、相変わらず安田登の『野の古典』を読み、能についての安田さんの説明からも、能というものが供養としての役割があり、死者との交信でもあるとの説明から、昨年作曲した曲は死者との交信であったし、そうしたことから新たな誕生に向き合うのだなぁ、と思った。砂連尾理さんが死者との交信をテーマに掲げた「問題行動ショー」のために作曲した音楽も、死者との交信、見えないものとの交信の音楽でありダンスであった。

 

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