野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

野村誠の動態展示/黒田大スケ展/KANSAI STUDIES

昨日の釜ヶ崎芸術大学で作った歌を楽譜にして送る。

 

ながらの座・座の橋本敏子さんとの打ち合わせ。2018年に行った「徹夜の音楽会」で、お客さんが20人も宿泊して、いしいしんじさんの即興小説とぼくの即興音楽で寝ていただいたりした今考えると奇跡の企画を経て、昨年6月に「徹家の音楽会」を行う予定がコロナで延期。しかし、一年経っても、とても出演者6人と多数の観客が集い、ちゃんこを作り、食べ、交流し、同時多発で色々起こる丸一日の大イベントは、とても開催できそうになく、この案を見送る。その代りに現在計画中なのが、野村誠一人をながらの座・座に動態展示するというもの。1週間くらい滞在し、その間、お客さんは定員以内の人数ならば、いつでも来れるという企画。近々、企画詳細を告知できる予定。とにかく、ながらの座・座は、素晴らしいお庭だったり、床の間だったりするので、毎日、ここを掃除したり、お茶を飲んだり、散歩したり、お客さんとお話したり、楽器を練習したり、アイディアを練ったりしたいものだ。どうやって過ごすのがいいかなぁ。

 

京都芸術センターで開催中の黒田大スケ展を見た。この作家がとにかく「彫刻」ということに、何らかのこだわりがあって、「彫刻とは何か」を色々考えていく中で、東アジアにおいて「彫刻」という概念が確立していった歴史に関心を持ったり、京都市内にある公共彫刻に関心を持ったりして、それとそっくりなオブジェを作って、そこにカメラを設置して街中を動き回ったり、東アジアのリサーチをもとに、フェイスペインティングして顔をカニや楽だにして歴史上の彫刻家たちの言葉を自分流に語らせたりしていた。彫刻について、そんなに真面目に考えたこともないので、黒田さんのこだわりは、とりあえず他人事のように鑑賞するのだが、その熱さには何かを感じる。と同時に、黒田氏が色々リサーチしたり、町中にオブジェとなったカメラを持って行った際の人々の黒田氏に対する反応などが気になり、そちらを見たいような気もした。

 

KYOTO EXPERIMENTのKANSAI STUDIESの展示もあった。リサーチメンバー(dot archtects、和田ながら、里村真理、川崎陽子、塚原悠也、ジュリエット・礼子・ナップ)が、水をテーマにリサーチを続けていて、それをシェアするための展示。これは展覧会というだけでなく、情報の公開の場であり、研究室公開という感じ。ヨシとアシの違い、流木など。さいたまトリエンナーレ2016の時に、JACSHAで「相撲聞芸術研究室」という展示をしたことを思い出す。JACSHAの時、ぼくらは研究成果の展示と同時に、研究室としての居心地の良さを追求した。今はコロナだから、当時の状況と違うだろうけれども、こうしたリサーチの場をコロナの現在にどうやって開いていくのか、興味深い。