野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

節分の10時間収録

いつも2月3日が節分なのに、今年は2月2日が節分なのだそうだ。例年だったら吉田神社の節分祭に出かけるところだが、今日は、アクア文化ホールで朝から晩まで野村作品の収録。自分の作曲作品を何作も続けて合奏する貴重な機会。

 

今日の1曲目は、《Beethoven 250 迷惑な反復コーキョー曲》(2020)というアコーディオンとピアノのデュオ。アコーディオンの大田智美さんと演奏。15分間、ベートーヴェンのモチーフが様々に登場してくる集中力と緊張感たっぷりの曲。やさしいところもあるし、激しいところもある。そして、アコーディオンの美しい音色にうっとりしたいけど、うっとりしていると弾き間違えるので、必死に演奏。智美ちゃんの繊細な表情あるアコーディオンとの共演は、本当に充実。この曲を撮り終えた時点で、既に達成感あり。

 

クイックランチでおにぎりを食べながら、パーカッションの安永早絵子さんとリハーサルと打ち合わせをしてのち、本日の二曲目《ミワモキホアプポグンカマネ》(2017)。日本センチュリー交響楽団のスーパーチェリスト北口大輔さんをソリストに、センチュリー響の小川和代さん(ヴァイオリン)、森亜紀子さん(ヴァイラ)、村田和幸さん(コントラバス)、笠野望さん(トロンボーン)、ロジャー・フラットさん(トロンボーン)に野村という豪華な編成。4楽章あって20分くらいある大曲なので、これまた、やるのは大変。弦も菅もいるし、サン=サーンスやサティやハイドンドビュッシーなどのモチーフも出てきたりもするので、バンドで演奏している感覚というよりは、オーケストラの一員になったような気分。皆さん、タキシードの中、一人だけ黄色の水玉シャツで演奏。ふうっ。

 

本日の3曲目は、《土俵にあがる15の変奏曲》(2019)。これは、センチュリー響の小川和代さん(ヴァイオリン)と柿原宗雅さん(ピアノ)に、安永早絵子さんと野村がボディパーカッションと相撲パフォーマンスで乱入。12分くらいの曲。安永さんとのパフォーマンスは、アドリブ多かったけれども、安永さんが臨機応変に遊びまくって下さるので、めちゃくちゃ面白くなった。小川さんと柿原さんは、1年前に世界初演した時よりも、さらに演奏が練り上げられていて、気迫も十分で素晴らしかった。さっきまでオーケストラ気分だったのに、急に相撲の世界になっている。

 

本日の最後の曲は、《Slapping Music》(2017)で、3分くらいの小品だけれども、これは体を叩きまくるし、集中力を使うので、一発で成功させたかった。安永さんと野村のボディパーカッション。安永さんは、本当にさすがの演奏で、1拍ずつずれていくかなり難しいパートを、難なく正確に演奏し、色々音色も変化をつけ、遊び心もたっぷり。すごいなぁ。

 

ということで、10時間弱、ノンストップでの収録が終わる。撮影スタッフ、ホールスタッフ、演奏者の皆さん、ありがとうございました。まだ、明日もあるので、急いで帰宅。日付が変わらないうちに、里村さんと豆まきやって、鬼は外、福は内。豆をまくと、東の空に下弦の月があやしい姿を見せていた。