野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

リコーダー実験/自分も生まれる旅/ミワモキホアプポグンカマネ

安野太郎の『ゾンビ音楽』に捧げるリコーダー演奏を考えているうちに、2009年に子どもたちと編み出したペットボトルでリコーダーを演奏する演奏法を思い出す。あの時は7人ほどの子どもたちが一斉にペットボトルを股間に挟んでリコーダーに空気を送り込んで演奏してくれた。まずは、それを試す。ペットボトルとリコーダーの組み合わせと言えば、小日山拓也の「湯笛」という楽器もある。本日は、複数のリコーダーを口を使わずに、同時に演奏するところまでは、なんとか実現できた。

 

九州大学ソーシャルアートラボの本の校正。武田力さんと野村誠の対談。伝統芸能と身体とアートマネジメントなどを巡る対話。校了!どんな本になるのか、他のページを読むのが楽しみだ。

 

自分も生まれる旅の河野有砂さんから、「自分も生まれる旅とノムラノピアノ」という本の原案が送られてきていて、その取り扱い説明書のような封筒を開封して中を見た。ぼくは、助産院で出産の現場に立ち会ったことはない。有砂さんは自身の出産という体験があまりにも特別な体験であったことをきっかけに、「生まれる」という非常にプライベートでなかなか覗き見ることもできない場面を、彼女なりのやり方で記録し始めた。育児や出産に全く関係ない分野のことにもつながるような感覚がある。ぼくはピアノを弾くことで、これまで関わってきたが、本をつくるとなると、楽譜だったり、文章だったり、ライブ演奏とは違うアプローチで、「生まれる」ことに取り組むことになる。3月になると比較的時間がとれそうなので、春に作曲したり、手書きの譜面を書いてみたりして、できることならば、自分自身がもう一度「生まれる」ようなことができたら嬉しいと思う。

 

自分も生まれる旅とノムラノピアノvol.2 #2 もしかしたら90億光年離れた星より遠いところ | 自分も生まれる旅 | blog | blog

 

今日は、野村誠作曲のチェロ協奏曲《ミワモキホアプポグンカマネ》のリハーサルをした。日本センチュリー交響楽団の北口さん(チェロ)、小川さん(ヴァイオリン)、森さん(ヴィオラ)、村田さん(コントラバス)、笠野さん(トロンボーン)、ロジャー(トロンボーン)と野村(ピアノ)で演奏するのだ。しかし、センチュリー響は、明後日の定期演奏会に向けて、バルトークリゲティなどを猛練習した後で、皆さん、ヘトヘトのはずなのに、野村作品の動画収録に向けてのリハーサルに、嫌な顔の一つもしないで、喜んで参加されているのが、ありがたい。3年ぶりにこの曲を演奏したけれども、懐かしいし、色々な場面が思い起こされる。若者の就労支援のプロジェクト『The Work』のワークショップの中から生まれてきたアイディアが詰まっているので、演奏しながら、当時のワークショップの様々な場面が想起される。北口くんのチェロの音色は、相変わらず本当に素晴らしいし、センチュリーの皆さんの演奏も力強く、このアンサンブルに一緒に参加できていることを、本当に貴重に思う。